Crimson Hearts

□Retrace:U
2ページ/9ページ




彼女‥―――アクスはこの街で唯一の肉親の母と二人暮らし


決して裕福ではなかったが不幸とは感じた事はなかった

それなりに暖かい生活を送っていたみたい


「アクスー!」

「今日も遊ぼうぜ!」


外から聞こえる快活な呼び声

アクスと呼ばれることに全く抵抗はなくて
名前もわからないんだし、これからもアクスと名乗っていこうと決めた

「ちょっと待ってて」


戸惑うことばかりかと思っていたけど、彼女の記憶に助けられて生活に馴染みはじめていた


元々の性格も似ていたみたいだし‥‥ね


革靴に履き換え扉に手をかける
そういえば‥‥初めは部屋の中でも靴を履くことに凄く違和感を感じたんだっけ

「母さん
出掛けてくるね」

「夕飯までには帰ってきなさいよ
行ってらっしゃい」

「行ってきます」

扉を開け放ち街へと繰り出す


「お待たせ」

家の前で待ち受けていた少年三人組
この区域は子供が少なく、同い年は男の子しかいない

自然といつも集まって遊ぶのは私を含むこの四人だった
だからかな、こんなに運動する事に体が馴れているのは

「今日もあれやろうぜっ」

「今日こそ借りを返してやる!」

「‥‥無理だと思うけど、売られた勝負は受けて立つよ」



ぎゃんぎゃん騒ぐ彼等を静かに眺める

やっぱり私って普通よりすこし冷めてるのだろうか



「おいっ
なーにぼーっとしてんだよ
置いてくぞ!?早く来いっ!」

「はいよ‥‥」


深く考えることでもないか‥‥




私たちはいつもの広場へと向かった





次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ