Crimson Hearts
□Retrace:W
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刻み込まれた鼓動
それが今、この時、進み始める
断罪の裁きを承けるべきは彼だけ?
それとも、時を同じくする私も同罪?
己の罪を見つけたら
私も逃れられるのだろうか?
悠久に滞り無く流れ続ける時に
蝕まれ続けた結末から―――‥‥
Retrace:W
‐名も無き罪と‐
「‥‥‥。」
意識が浮上し、心地よい闇から抜け出す
うっすらと目を開け辺りに視線を巡らせる
壊れたタンスに破れてちぎれたカーテン
どうも私が部屋の前で待機していた時にアリスが暴れていた部屋のようだ
部屋の惨劇に冷や汗が一つ、頬を伝う
その薄暗い部屋の中
何とかベッドは使える程度には無事だったのか
そこに私は寝かされていた
あぁ‥‥また意識を手放してしまったのか
こうも頻繁にバタバタ倒れていては、これから先‥‥オズ達に迷惑をかけてしまうのが今にも目に見えるな‥‥‥
「はぁ‥‥」
重いため息が吐いてでる
「薄気味悪いガキだな」
「‥‥‥。」
隣の部屋からだ
ブレイクの声
‥‥‥何?
そろりとベッドから降り
ホラー映画宜しくな部屋を物音をたてないよう足場を確かめながら慎重にドアへと近づいてゆく
ドアをゆーっくりと薄く開き向こうの様子を大人しく伺う
「‥‥‥‥‥‥なに‥‥?」
カツ
カツ
「‥‥興味深いね
一体何が君をそこまで“歪ませた”のか」
ギルバートはその言葉に疑念を示す
ブレイクは音もなく立ち上がり靴音を響かせ椅子に腰掛けているオズへと近づいてゆく
「もっとも‥‥
君自身はまだ“ソレ”に気付いていないようだケド」
いつもの様子では無いブレイク
出会って間もないがその場の雰囲気が異様だってことは私にもわかる
呆然としたオズの目の前に彼は立ちはだかった
「ブレ‥‥‥」
「ねぇ オズ君‥‥君は
一体“どこにいるんだい?”」