Crimson Hearts
□Retrace:W
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「きさまっ
明らかにバカにしてるだろう!!」
「さーて
そろそろおいとましますかー」
再びアリスの激昂に奴―――ブレイクは背を向け
何事も無かったようにいそいそと部屋にある狭い戸棚の中へと入り
「それでは皆さん ご機嫌よう」
ゆっくりとキギギギと不気味な音をたてつつ内側から閉めきった
ぱたん‥‥
しばし静寂が訪れる
ガ チャッ
ギルバートとアリスは奴が入った戸棚を乱暴に開け放った
だがそこにブレイクの姿は無い
あの道化のやることだと納得してしまえば理解の早いことだが
「いない!!」
「なんでだ!!!」
何の変哲もない戸棚の前でぎゃーぎゃーと騒ぐ2人にはまだ出来ぬことらしい
「‥‥オズ?」
とことこと出口へ向かうオズの姿が目に映り何気なく後を追う
彼が通ったドアをくぐり窓の外を見つめる小さな背中を見つけた
「‥‥‥‥‥‥」
先ほどブレイクに告げられた言葉が効いているのだろうか
何処かぼうっとしている彼に静かに歩み寄り怖ず怖ずと声をかけようとした
「オズ
―――‥‥ッ!?」
ドクン‥
立っていられなくなる程、灼けるように胸が苦しくなり
その場に崩れ落ちる
ドサッ
隣でオズも胸を押さえて倒れた
「‥‥あっ‥‥ぐ‥!?」
強く胸部を押さえ喘ぎながらも苦しみに耐えようとする
そこに誰かが現れた
カツ…
カツ…
‥‥‥だれ‥?
小さく廊下に響く足音に誘われるよう
私の意識は闇に落ちた