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□伝わらない気持ち
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「しーものくん♪はいあーん」
「え?」








CDの収録が終わり部屋から出たら腕を引かれる。
誰だろうと思い顔を上げた途端口に何かを入れられた。


な、何??










「おいしい?」
「もぐ、お、おいしいです…あ、あの…」
「なーに?」











口に放り込まれたからあげをのみ込みその人物を見る。










「どうしたんですか…小野さん?」
「へ?俺変な事した?からあげいやだった??」
「え!い、いえ、それはおいしかったですけど、…」










そう言えばよかったーと抱きつかれる。
ほ、本当にどうしたんだろう…?
と思っていたら今度は後ろから引っ張られた。








「あーーー!ちょっと何なの――――浩史!!」








ぎゅっと先ほどの小野さんより少し強めに抱きしめられる。
心なしかお、怒ってるような表情の神谷さんです…。






「大丈夫下野くん?この変態に何もされてない?」
「あ、の…」
「浩史のが変態でしょ!何ちゃっかり下野くん抱きしめてるの!!」
「お前に言われたくない」










バチバチと火花が散る。
ど、どうしてこんなに二人が怒ってるの!!?













「あれ?こんな所で何やってるんですか??」







場に合わない様なお気楽な声が僕たちに問いかけられる。
振り向くと達、寺島、羽多野の三人が近づいてきた。








「んー、達たちに構ってる暇ないんだよね〜」
「そう言う事」
「ふーん…」






見向きもしない二人に達はじとーと下野を見つめた。
こそっと口パクで寺島と羽多野に何かを伝える。
満面の笑みの寺島に対し羽多野は苦笑だ。








「あーーーーーーー!!神谷さんちのにゃんこ先生が小野さんの後ろにいるーーー!」


大声で指をさす。
もちろん嘘だ。






「え!?何でにゃーさんが!!?」
「わぁああ!!!?ねこやだーーーー!!!」










が二人は信じたらしく慌てだした。
神谷の抱擁から解放された下野の腕を羽多野が捕まえる。









「下野さん逃げますよ!」
「え?」
「あーもう!遅いですよ!!」
「っ!ええぇ!ちょっ!!」








いまだに状況が飲めない下野に寺島が彼を抱き上げる。
そのまま走り出した二人。
達は目の前の二人に“嘘ですよ”とニヤリと言い放ち三人を追った。










「あ!達っ!!…ちっ逃げられた…」
「もう!浩史が悪いんだからね!!」
「はぁ!?意味わかんねぇ!!」
「俺が下野くんと話してたのに邪魔するからだよー!!」









この二人の子供じみたケンカはたまたま通りかかった安元氏が止めるまで続いたとか…。


*******







「もう大丈夫かな…」
「て、寺島くん、下ろしてっ!」







バタバタと暴れ出す下野。
それでも楽しそうにぎゅーと抱きしめた寺島を後ろから来た達が殴る。
むぅーと達を睨みながら頭をさする寺島。
下野は羽多野の後ろにぱっとくっ付く。











「ど、どうしたんですか、下野さん?」
「ううん、今日は皆変だなぁって思って…」
「え!…気づいてないんですか?」
「…??」







天然だとは思ってたけど…ホントにこの人は…。
もうそろそろみんなの想いに気付かないと。



俺の想いも…ね?

















(あ!渉抜け駆け!!!)
(…へたれのくせに)
(俺何もやってないよ!!?)
((変態))
(ひ、酷い…泣)
(ほら、下野さんこっちおいで〜)
(……羽多野くんがいいなぁ…)
((!!!?))
(し、下野さん…?)
嗚呼、そうゆう無自覚な所とか…!
天然な貴方にはいつも振り回されっぱなしですよ

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