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□譲れない想い
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「ひーろくん」










声をかけるといつもの太陽の様な笑顔で振り返ってくれる。


あーかわいい〜。




「こんにちは、鳥海さん。今日はお疲れ様でした」



「うん、紘くんもね、」









今日はゲームの歴代主役キャラのかけ合いの収録だった。









「紘くん一人二役なんでしょ?あれ、三役だったかな?」


「三役って言うほどじゃないですけどね」


「そうかな?その微妙な声を出すのが難しいんじゃない?」





ぽんぽんと頭を撫でる。
これはお世辞とかじゃなくてホントの俺の気持ち。





一生懸命な彼の演技に惹かれたんだ。






にこりと微笑んで彼を見たら恥ずかしそうにだけど美しく、嬉しそうに笑う。



嗚呼、ホントに純情と言うか初々しいというか…。


かわいいんだから、




そっと頬に手を添えて顔を上げる。











「かわいいね紘くん、…」


「え、鳥海さ、!」







「はいそこまで」




ばちんと鳥海の顔に鈍い音と痛みが走った。
顔を抑えながらよく知っている声の持ち主を見る。



そう言えば今日一緒だったね…。









「痛いんだけど、ちーちゃん…」



「鳥さんが悪いでしょ、下野くんに何しよーとしたのかなー??」








てかいつからいたのよ君は…。
紘くんも見事に腕の中に抱いてるし…。





「まだ何もしてないでしょ、」



「まだって、もう鳥さんは…」



はぁ、とため息を付いたちーちゃん。
いやいや、ため息付きたいのはこっちだからね。





「あ、あの…」




小さく声を上げる下野、それもそうだろう今の状態は千尋が後ろから抱きしめているのだから。
真っ赤な下野に千尋は柔らかく微笑む。




「どうしたの下野くん?」




「そ、そろそろ離してほしいんですけど…」


「(よっぱど恥ずかしいんだね紘くん…)」



「あ、ごめんね。抱き心地よかったから、つい…ね」






満面の笑みでそう言って腕の中の下野を離す。
頬に手を添えながら下野は恥ずかしそうに顔を隠した。

やばいなぁ、そうゆう表情すっごくいいね。




ってオヤジ臭いな……。








ぐいっ、



腕を引かれてふと現実に戻る。

と思ったら黒い笑みで俺を見つめてるちーちゃん。





すっごく嫌な予感が…。







「鳥さん、後でねお話があるんだ」


「あー、…えーと………」



「お話、あるんだ」




「………はい」








引き攣った俺の笑み、ちーちゃん怖いよ、いやマジで。









……はぁ。




ちーちゃんも紘くんに本気なのは分かった。
だけどね、
流石にこればっかりは譲れないわけよ俺も。








だって俺もマジだから
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