小説4

□今生でも愛してる
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「ゆぅぴー!」
 人前では俺のことをそう呼ぶこの人は、俺と2人きりになると、呼び方を変える。
「瑜月」
 サングラスを外したその目に浮かぶのは、まっすぐな光。無言のままにこっちに来い、と命令され、俺はふらふらと策の元に歩み寄る。あと一歩の距離。そこで抱き寄せられた。
「本当に、」
 俺を抱き締めて、策は耳元で囁いた。
「今生でも出逢えてよかった。お前のいない人生なんてきっと耐えられなかったな」
「……俺もだ。ずっと、会いたかった」
「だから、お前が権にかかりっきりなのは妬けるな。本当は、俺の元にずっと置いておきたいんだけどさ」
「仕方がないだろ、学生なんだから」
 こつんと額を合わせて、策の手が俺の後頭部にまわる。されるがままに任せていると、唇同士を合わせて、策は言った。
「愛してる。公瑾」
 古い、懐かしい名を呼ばれて、肌が震える。
 俺も眼鏡を外して、おずおずと策の首に腕をまわした。
「俺もだ、伯符」
 ああ、もう、誰も俺たちを引き離しはしない。
 今生でこそは失わない。伯符。俺たちは、ずっと、一緒だ。




勢いで一気書き

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