小説4
□慧鶴小ネタ
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慧は僕のことをあいしてるなんて言わない。僕も言わない。
だって慧のあいしてるは生臭い。血と精液の臭いがするのだ。それは原始の生命につながっている。ぐちゃぐちゃでどろどろだ。
「慧、香水臭い」
「そうか?」
「昨日の相手は新劇の女優かな」
「まあ、そういうところだな」
僕たちの愛は黒い。地獄の臭いに満ちている。それは腐乱していて、香しい。僕たちの愛は腐乱死体の愛だ。
「そんなんどうでもいいだろ、早くヤろうぜ」
「はいはい」
あいしてる、なんて僕らには要らない。だって僕らは気づいてる。僕たちはもう、互いなしでは生きられないことに。
堕落しきった二人のお話。
お題は星食( http://xsize6.xria.biz/?guid=on)様よりお借りしました。