小説4
□いちばんたいせつな五文字はくれてやらない
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別にすき、じゃないしあいしてる、でもない。言うなれば行きずりの関係が状態化したに近い。転がり込んだダンサーの部屋でヤり疲れて眠りこける女の横顔を見ながら、俺はぼんやり考える。
性行為依存性だ、と親しい小説家は俺を評する。人肌の体温を感じていなきゃ生きていけない人間なんだと。悲しいことにそれは的確な表現で、今日も今日とて俺はあいしていない女を抱く。
「ん……どうしたの?」
目を覚ました女が、鼻にかかった声で俺に尋ねる。
「目が覚めただけだよ」
俺がそう言って女の額に唇を落とすと、女は満足げにまた眠りについた。
すきだ、もあいしてる、も言ってやっていないことに、この女は気付いているのだろうか。
(だって遊びにしか過ぎないから)
慧ちゃんのお話。慧ちゃんは基本的にひどい男です。
お題は星食様 (http://xsize6.xria.biz/?guid=on)よりお借りしました。