小説4
□ネバーランドの亡霊たち
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「公瑾」
笑いながら貴方が私の名を呼んで、手を取る。
「どうなさいましたか、伯符」
「踊ろう」
唐突な一言。驚いてる私をほったらかして、貴方はでたらめなステップを踏み始める。くるりと回されて抱き留められたところで、私はやっと我に返った。
「踊りなど……踊ったことはありませんが」
「でたらめでいいんだ」
「急にどうなさいました?」
「覚えてるか?」
抱き留めたままの私の身体を抱き締めて、伯符は私の耳元で囁いた。
「今日で私が引っ越してきて10年になる」
「それは……」
「そう、つまり私とお前が出逢って丁度10年経つんだ!」
だからはしゃいでいたのか。子供のような親友に、思わず笑みが浮かぶ。
「だから、ですか」
「そうだ」
「でしたら、踊るのも悪くない」
でたらめに踏まれるステップに合わせて、ステップを踏む。回されるまま、くるくると回る。
たまには、今日だけは、子供のように。踊り続けても、良いかもしれない。
ネバーランドの亡霊たち
ノリのまま書いたよくわからない断金。現代版周瑜は敬語+呼び捨てでいいかな、と思います。
お題はイーハトーヴ(http://nanos.jp/xkrgx/)様より。