小説4

□愛のしるし
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 朝になった。
 呉用はゆっくりと寝台から上体を持ち上げて、乱れた着衣を直した。
 それから、傍らに横たわる人間の体を、ゆっくりと揺する。
「晁蓋様、朝ですよ。晁蓋様……」
 すると、晁蓋は薄目を開けて呉用を見、それから、大きく欠伸して寝返りを打った。
「俺はまだ寝る……」
「分かりました。あまり寝過ぎなさらないように」
 乱れた晁蓋の髪を手で梳きながら、呉用はゆったりと微笑む。そして、寝台から降りた。
「では、私は一足早い朝食を食べてきますね」
「おー……」
 聞こえた返事は、既に半分夢の中。苦笑しながら、呉用は部屋を出た。






 晁蓋の家を出た呉用は、孫二娘と張青がやっている料理屋へと向かっていた。
 途中、何人かの人間とすれ違い、「おはようございます先生」などと挨拶される。たとえ数時間であれ寝てすっきりしている呉用は、にこやかにそれに答えた。
 そして、料理屋に到着。
 中に入った呉用は、カウンター席に腰掛けて中の孫二娘に声をかけた。
「饅頭を二つと茶を」
 すると、にやっと笑って孫二娘は言った。
「おやおや先生、今日は寝不足かい?」
「どちらかと言えば普段よりは寝ていますよ。……何故?」
「先生、これ鏡」
 手渡された手鏡を覗き込んだ呉用は、絶句した。
「あの馬鹿……!」
「丸見えだよ」
 呉用の白い首筋に散らされているのは、真っ赤な花。いくつも散っていささか病的な執着を見せるそれに、呉用はふらふらとへたり込んだ。
「……ありがとうございます、孫二娘」
「襟巻でも貸そうかい?」
「よろしくお願いします」
 女物の襟巻を受け取り、呉用はそれで首を覆う。そして、戻ったら一発晁蓋を殴ろう、と心に決めた。









晁蓋×呉用はみんな公認だといい^^

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