小説3

□片付け下手
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「伯符は片付けが苦手ですね」
 全体的にごちゃごちゃとした部屋を見ながらずばりと言った周瑜に、孫策は苦笑で応えた。
「……まあな」
「片付け、手伝いましょうか?」
「できれば頼む」
 言うが早いか、周瑜はその場に屈み込み、転がっていた物を手に取っている。
「これは必要ですか?」
 周瑜が尋ねると、孫策は「あー……」と頭を掻いた。
「って言うか、いらないものはないんだ。全部いる」
「それでは片付けられませんよ?」
「……分かってる」
 バツが悪そうな顔をして、視線を彷徨わせる孫策。周瑜はくすくすと笑った。
「伯符は片付け下手ですね」
「そういう公瑾は、片付け上手なんだろうな。……いや、買い物上手か」
「そうですね。いつも買う物を決めてから買い物をしていますから。……伯符と違って」
「物欲が多くて悪かったな」
「誰も悪いとは申しておりませんよ。ただ、伯符らしいなと思っただけで」
「俺もお前を見習わなきゃな」
 周瑜の隣にしゃがみ込み、はあ、とため息をつく孫策。そんな彼を見遣って、「いいえ」と周瑜はその手に触れた。
「貴方は我儘に物欲が多いままでいらしてください、伯符」
「公瑾……?」
「欲しい物は何もかも、天下をも手に入れるおつもりでいらっしゃってください。要らないものは、私たち臣下が判断いたしますから」
「……ああ」
 そうだな、と孫策は笑う。そして、周瑜の手に指を絡めた。
「頼んだぜ、公瑾」
「お任せください、私の殿」







孫策って片付け下手そうだよね!という話。

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