小説3

□あまのじゃく
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「典韋」
「触るな!」
 手を取っただけで、邪険に振り払われる。それから押し当てられる刀の刃。俺は降参して、両手を上げる。
「冗談だよ」
「冗談で済むと思うな」
「キミは本当に一途だねえ」
「……貴様のような軽薄な輩と一緒にするな」
 酷い言いように、思わず苦笑が漏れる。それがまた癇に障ったのか、「何の用だ」と典韋はそっぽを向いた。
「ろくでもないようなら、私は鍛錬に戻るぞ」
「用ならあるよ」
「なんだ」
「この前、俺とかわいこちゃんの密会現場、覗いていただろー?」
 何でもない風を装って、さらり、と。すると典韋は真っ赤になって、「あれは!」と言葉を重ねた。
「不可抗力だ! 近くを通ったら嫌がる女の声がして、相手を成敗してやろうと思ったら、貴様が……」
「あの女の子の言葉は演技だよ。初心な典韋には、そんなことも分からないかな?」
「貴様……私を愚弄する気か!」
「やれやれ、君は本当に曹操様しか見ていないね」
 本当は、妬いてほしい。ちょっとでも言いから、こっちを見て、叱って欲しい。
 けれど典韋がいつも言うのは、「曹操様、曹操様」だけ。彼女の怒りも何もかも、全部曹操様のためにある。
 あーあ。
「俺はこんなにも好きなのに」
「なっ……ふざけるな!」
「ふざけてなんかないよ。キミみたいな怖い子を、冗談で口説いたりしない」
 さらさらの黒髪を引き寄せて、殴られるの承知で口付ける。抵抗はなかった。豊満な体を引き寄せて、耳元で、囁く。
「愛してるよ、典韋」
 嘘じゃないと、どうか気付いて。








NLなら郭嘉→典韋とか超タイプ! と思って頑張って書いてみた話。
典韋ちゃんは可愛い!

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