小説2

□夜をかけるしか脳がない
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 周瑜が熱を出した。
 何てことはない、ただの熱だ。だが、無双天使に風邪はない。何かの疫病か、毒か、あるいは疲労か。今、甘寧と呂蒙に原因を調べさせている。オレが今できることは、何も、ない。
 本当は、周瑜の傍にいるべきなのだろう。なのに、荒い息で時折苦しそうに呻く周瑜が見ていられなくて、オレは屋敷を飛び出した。周瑜には権がついているし、廊下には太史慈や周泰もいる。自分にそう言い聞かせて。
 怖かった。周瑜の傍にいるのが。
 熱に魘されて、苦しげな周瑜。どうしても、何度か経験した戦いを思い出す。はじめの頃はオレも周瑜もまだ稚拙で、大怪我を負ったこともあった。そんなとき、周瑜はああやって熱を出して、寝込んでいた。
 ああ、
 そんな場合じゃない。周瑜の傍にいるべきだ。分かってる、分かっているのに。

 今のオレは、ただ夜をかけるしか脳がない、まるで、獣のようだ。





お題見て、唐突に断金が書きたくなったので。
お題はイーハトーヴ (http://nanos.jp/xkrgx/ )様よりお借りしました。

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