イタナルコ編

□冷たい唇
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世の中、数奇な運命というものがある。
(しかし! あたしほど、他人に振り回された運命は無いってばよ)
 何もかもが、あの日、あの時、小悪魔共に見入られたとしか、言いようがない。
 目が覚めると、事後承諾だけだと言わないばかりに、甘い微笑み付きで覚悟を促された。
「おはよう、ナルコ」
「……………………酒、昨日のジュースに混ぜたってば?」
 他人の腕のなかで、全裸。しかも全身に散る赤い鬱血の跡……。恐ろしいことに鈍痛の走る下腹部。自身の身に何が起きたのか、容易に想像出来て撃沈する。
「……おのれっ……図ったってば。お酒入ると、乗りと勢いだけになって前後不覚になるの知っているくせにっ!」
「酔った勢いで俺を襲ったのはナルコだけど、折角の好機だから美味しくいただきました♪ だから、観念して、お嫁さんになってね」
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