■天上の海・掌中の星 3

□緑の日なかにて
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この身を動かすには、
まだまだ色んなものが
足り無さ過ぎると。
先だってのように、
ボランティアに出掛けようとか、
自分たちには出来る、
特別な…何か
手助け出来ないかと、
衝動に任せ、
闇雲に言い出さなかった
坊やであり。

  全部へ満遍ない
  手助けが出来ないなら、
  しない方がまし…
  とまでは言わないけれど

此処にいて
出来ることをすればいい、
自力で出来ることをすればいい、
それが結局は正道と、
ちゃんと判っているらしく。


  節電もしなきゃあな。

   そうだな。
   テレビとか点けっぱなしは
   気をつけような。

  でもな、
  自粛はほどほどが
  いいんだって。

   そうなのか?

  おお。
  馬鹿騒ぎはよくねぇけど、
  だからって、
  自粛のし過ぎで
  けーざいが落ち込むと
  助けたくとも
  助けられないってことに
  成りかねねぇって。

   そっか、だから ほどほどか。


そーだと言ってのけた
腕白坊やは、
決して…今の今まで
激高したり俯いていたりは
しなかったけれど。
小さな胸の中、
小さくはない嵐を
押さえ付けていたのが、
そこは精神世界の住人だし、
他でもないこの子のことだ、
よくよく判るゾロだったりもし。
見ず知らずの相手へでも、
心的共鳴を起こしてのこと、
単なる感情移入以上の
思い入れが出来る子なだけに。
あまりに大きな哀しみと
接してしまい、
やあらかな心が
打ちひしがれたりせぬようにと、
表へ出さずとも油断はせずに、
それは細心の注意を払って
見守っていたのだが、

 “……見くびっちゃあ
  いかんということか。”

寄り添うて一緒に哀しむのも、
涙の切っ掛けをあげるのも
必要なこと。
ならば、
その後ろに控えし者らとしては、
どんと任せてと立ち向かえる強さ、
溜めておくのが
正しい応援だとばかり。
溌剌と振る舞っている
ルフィなのへ、
さすがさすがと
舌を巻いている
破邪殿でもあったりし。

 「そうそう、
  島田さんたちも
  応援に来てくれるって。」

 「久蔵 連れてか?」

 「そうだっ。」

電話友達、実は…という、
謎めきの仔猫さんのこと、
どこまで
知っておいでやらなご家族にも、
またまた会えるのを
素直に楽しみにしている坊や。
当日もすっかり晴れたら良いねと、
庭の緑を透かすサッシの窓の縁、
ピッカピカに光らせている
朝の陽がちかきら燦めいて、
坊やへのエールを
送っているようだった。





  〜Fine〜  11.05.02.





そういえば、
もうすぐルフィさんの
お誕生日でしたね、と。
毎年、それだけは忘れぬはずが、
色々なニュースで
鯉のぼりを揚げてるお話を見てもなお、
ぎりぎりの昨日になって
やっと思い出したわたしでして。
何と言いましょうか、
まだまだ思考のどこかで、
頭が容量一杯になってるほど
捕らわれてることが
紛れもなくあるんだなぁと、
こんな形で
実感してしまったのでした。




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