■天上の海・掌中の星 3

□素朴すぎる疑問
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それでなくとも育ち盛りで、
そこへ加えて、
結構な大食漢。
同じ年頃の女子らから
相当に羨ましがられそうなほど、
甘いものや
揚げ物を食べまくっても
ちっとも体型へ響かない、
脅威の燃費率の悪さを誇る
(おいおい)
ある意味、
ここだけ特に原作に忠実な
ルフィさんだったりし。

 「あれかなぁ、
  陰体へ働きかける
  精気ってのも、
  それを生むのに
  エネルギーが必要なのかね。」

 「そりゃあ、要るだろうよ。」

気力って意味なら尚更に、
腹がすいてちゃ
発揮されない
もんなんじゃあね?と、
恐らくは当事者の
ルフィ坊やが
鹿爪らしいお顔になり、
腕を胸高に組みまでし、
もっともらしくも目を伏せて、
うんうんと頷いて見せれば、

 「特にお前の場合、
  微妙な代謝をしているとか?」

 「何だよそれ。」

だってよ、時々、
俺ら並みの力出してるしよ、
なんてな言いようをした
聖封様だったのへは、

 “ …自分で言って
  気が滅入ってこんか、それ。”

ついつい珍しくも
破邪殿が
突っ込みを入れていたりして。
毎度お馴染み、
腕白坊やの
ルフィさんチのリビングにて、
午後のお茶会というか
おやつのお時間を
過ごしていた皆様なのだが、

 「俺が言いたいのは、」

ここへと降りてくる途中にも
見咎めたらしい、
躾けが要ることへの
ご指摘をしたい
サンジさんだったらしく、

 曰く、

 「歩きながら
  物を食うのは
  行儀が悪いといってんだ。」

 「う…。」

ごもっとも。(うんうん)
即座に言葉に詰まった辺り、
やっぱり今日も
肉まんの買い食いを
やらかしていた
ルフィであるらしく。
多少は恥かしいことを
指摘されたと感じたか、
上目遣いになっての、
ううう〜〜〜っと
言葉に詰まっていたものの、

「でもサ、じゃあさ、
 買ったその場で
 食えってのかよ、
 それこそ
 なんか変な奴じゃんかよ。」

「う…。」

確かになぁ。
イート・インでもありゃあ
ともかく、
ちょっとしたコンビニの
レジ近くに突っ立ったままで
肉まんをむさぼり食う人ってのは
異様としか言いようが無く。

「アイドルクラスの
 美少女ならともかく、
 俺みたいな
 高校生がやった日にゃ、」

ある意味 立派に
営業妨害かも知れない。(笑)
 ex、コンビニ前で
   うんこ座りして
   たむろってる不良とか

“つか、
 家にもって帰って
 食べるという発想は
 どうして出てこないんだ、
 二人とも。”

やはりこそりと、
その分厚い胸中にて
こぼした破邪様だったのだが。
きっとあれでしょう、
出来たてほっかほかに勝る
美味なしってところが
奇しくも
二人揃って同じな
価値観しているからでしょうよ。
これもまた
仲ががいいからこその
小競り合いか、
些細なことでの
言い合いが続くリビングへ、
刳り貫きで繋がっている
ダイニングの方から
戻ってきたゾロであり、

 「激論は済んだのか?」
 「…お前ね。」

本来なら、
お前が指摘して
指導するこったぞと、
青い双眸を眇めた
サンジだったのとは
真逆の反応、

 「うあ、うまそうっ」

差し出された
トレイの上の大皿に、
月見団子ですかと
言わんばかりに積み上げられた
蒸かし饅頭の山があったから。
ルフィの方は
一気に機嫌が良くなっており、

  これって、
  サンジが作ったんか?

  おお、
  こないだは
  笹の葉4号の手持ちが無くって
  残念だったんでな。

さっそくにも
いっただきま〜すっと
手を合わせるお元気坊やであり、
サンジさんのお小言は恐らく、
出来ればお腹空かせて
食べてほしかったから
かもしれませんね。
はぐはぐはぐと、
それは幸せそうに
ふっかふかのお饅頭へ
食いつく坊やを
和やかな表情で
微笑ましいと見守るゾロさんが。
このくらいなら罪もなかろと
口にしたのが、

 「こんだけあっても、
  晩飯に響くから
  加減しろって
  言わんでいい坊主へ、
  買い食いごときを
  叱っても意味ねぇぞ。」

 「う…。」

先程のルフィよろしく、
こちらさんは
もっと堂々と胸を張っての
腕組み姿勢で
言い切るところが、

 “立派な親ばかだ、
  このやろが。”

今度はサンジさんに、
胸中での独り言をさせている、
お互い様な、
坊やへの守護二人
だったようでございます。


  お後がよろしいようで…



   〜Fine〜  11.10.24.





前回のお話の
続きみたいになりましたな、
最初思いついたときは、
あんまりにも短いお話なので、
久し振りの拍手お礼に
しようかと思ったほどでしたが、
時事ネタや季節ネタは
時間が経つとどもなりませんので、
(なんやそれ)
こちらでご賞味
いただくことにしましたvv
歳がいったら特に、
食べたら動かんとなぁ。
(しみじみ…)



 

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