■月夜に躍る

□大剣豪、出張す
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 窓の形を透かしてカーテンが白っぽくなり、やがてオレンジを帯びた光に左上から染まってくのは、やっと太陽が昇ったその最初の光を受けて。どこからか小鳥がさえずる声もして来て。昨夜も遅かったろうにこんな早い時間から起き出したサンジが、今日の仕込みのためにと店へ向かう前に、ルフィの朝食を作っている気配がして。

 “……あ〜、
  起きちまったじゃんかよ。”

 っていうか、いつの間に寝たんだろうかと、自分のベッドの中でぼんやりと思う。腰掛けられるほどの幅がある出窓の桟に頬杖ついて、ラグの上へ直に座り込んで待っていた筈なのに。大方、遅くに帰って来たサンジがそんなところで転寝していた彼を見つけて、苦笑混じりにベッドまで運んでくれたものと思われ、
 
 “〜〜〜〜〜。”

 やっぱり来なかったんだと思うと、むむうと唇も尖るというもの。だが、此処で怒ってたってしようがないというのも重々判っているルフィであり、
“やっぱもう、昨夜のうちに出発しちまったんだな。”
 上掛け布団の中へ亀の子のように首を引っ込めると、先日 薄情な師匠へとして見せた、恨みがましげなお顔を“うう…”と再現していたりする坊やだったりするのである。

  ―― ゾロの馬鹿。

 おやおや。ま〜た喧嘩でもしたんですかねぇ。(苦笑)
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