■puppy's tail 3

□意外なお好み?
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 おねさん、
 こんにちは。
 今年は暑ちゅかったでしゅね。
 ジュースばっかり
 のんでましぇんか?
 カイはお外に
 あんまりいけなかったのが、
 つーまんなーいでしゅた。
 木がいっぱいぱい生えてるとこは
 涼しいからって
 前は おしゃんぽしてたのに、
 今年はそこもダメダメって。
 はーやく
 おちちゅいたらいーのにね。



    ◇◇◇


子供の言うことですんで、
どうかご容赦を…。
といいますか、
今朝の
“きょうのわんこ”を観ていたら、
毎日のお散歩で、
これまでは出来るだけ
土の上を歩かせてたのに、
今だけはアスファルトのほうを
選んでいるし、
庭先の
ドッグランもどきというほど
広い芝の空間も今年一杯は封じてて、
放射線量が減ったらねと、
レトリバーちゃんを
なだめてるご家族が
紹介されてまして。
そうか、人だけじゃあない、
わんこにも
まだまだ影響は続いているんだなと
知らされた次第です。
どうか頑張って
乗り切ってくださいね。




  ……………で。

こちら様のわんこ二人は、
人の恰好になりさえすれば、
ゴム底のスニーカーを履いて、
場所を選ばず
駆け回れるのではありますが、
その前に、
むんと塊のように圧のある
熱気に立ちはだかれてしまい、
結局、
なかなかお外へ
踏み出せなかった
夏だったらしいです。
その代わり、
お子様プールは
大活躍したらしいですが。(笑)

 「ゾロも
  自宅待機が多かったもんな。」

 「まぁな。」

屋内ジムでの運動は、
自然と冷房じゃ空調じゃと
電力を使いまくりにもなるのでか。
それとも…単に暑さ負けして、
トレーニングどころじゃないと
なった人が多かったのか。
インストラクターのバイトが
最も忙しいはずのゾロパパ、
この夏は
お客様からのキャンセルでという、
急なお休みが多かったらしいです。

 「その点に関しては
  “やった♪”だったけどな。」

 「おいおい。」

倒れた人も出たんだから、
そうそう喜ぶんじゃないと、
ラグの上へ座ってた傍らに
ちょこりとついて来て、
そのままお膝にまたがる
奥方の“言いよう”へは、
一応のクギを刺した
ご亭主だったが。
お手々のほうは正直なもの、
向かい合った恰好の、
小さな奥様の細腰へ回されていて。
そのままぱふ〜んっと、
分厚い胸板目がけて
凭れ込んで来たルフィを
ちゃっかりホールドしちゃう呼吸も
相変わらず。

 「ん〜、
  いい匂いだな、ルフィは。」

 「何言ってるかな、
  カイと同じ匂いだぞ?」

ボディシャンプーは
皆一緒ながら、
唯一の男らしい存在として、
ゾロパパはトニックシャンプーを
ご使用だけれど、
ルフィとカイくん、
そしてツタさんの3人は、
フローラルな香りのする
シャンプーを使っており。
そんな判り切ったことへ、
今更実感したということか、
抱え込んだ奥方の小さな耳元やら
ふかふかな髪の乗った
頭のてっぺんやらに
鼻先を突っ込んで
ふんふんと
匂いを嗅ぐところなぞ、

 「どっちがわんこか
  判らないよな。」

それでも、いやじゃあないらしく、
くふふと微笑う
ルフィではあったが、

 「…お、なんだこりゃ♪」
 「え? あ、こら。」

カイくんはお昼寝中とあって、
ツタさんにお願いしますと
任せての
“いちゃいちゃタイム”
だったのだけれど。
フローリングの上へと
腰を下ろしていたせいで、
目線が下がったルフィが、
背もたれになってたソファーの
クッションの隙間に
何か挟まってるのを
見つけてしまって。
おややぁと
引っ張り出したところが、

 「か〜わいいvv」
 「…そう来るか。」



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