■月夜に躍る
□Sweet Whisper
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ゾロ。
んん?
返事は要んね。
いいか?心して聞け。
?
今日の仕事、
早く終われそっか?
なんで?
お? 返事出来んのか?
ま〜な。
あ、じゃあじゃあ、
人の来ない、
寒い吹きっさらしんトコとか
じゃねぇのか?
まぁな。
陽が落ちたのに?
寒くねぇか?
防寒対策は取ってるよ、
体が動かないと話になんね。
そか。良かったvv
で? 何なんだ、いきなり。
あ………あのさあのさ、
今日の仕事、早く終わったらサ、
帰りにウチへ寄れ。
なんで。
〜〜〜〜〜。///////
うんなややこしい声を出すなって。
ややこしい声ってなんだよ。
う〜とも にゅ〜とも聞こえる、
妙な声んコトだ。
そ、そんな声
出してねぇもんっ。////////
で? なんでだ?
なんででもだっ。///////
寄り道すっと、
ナミがうるせぇんだがな。
そのナミもウチへ来てっからさ。
おや。
な? だから寄って帰れ。な?
何だよ、気味悪りぃな。
何だよ、失敬だな。
お? 怒ったか?
じゃあ尚更辞めとこっかな。
〜〜〜〜〜。///////
「俺は甘いもんは喰わねぇぞ。」
「そんでも一口くら…、あっ。」
どした?
〜〜〜〜。////////
ルフィ?
ゾロの馬鹿。////////
何だよ、それ。
笑ってんじゃねぇよっ、
こんの
“すっとぼけ怪盗”がっ。////////
で?
怒りみてぇだが、
寄ってっていいのか?
寄れ。////////
へいへい。
ちゃんと酒のアテも
サンジと作ったから。
うん。
………ゾロ。
んん?
もうバレバレみてぇだから、
今言っとく。
…うん。
誕生日おめでとう、ゾロ。
ああ。ありがとな。
◇ ◇ ◇
「さあって、と。」
切妻屋根の尾根の上、古風にもどんと座った煙突の内側に、フックで引っかけるネットを吊るし、そこへ腰掛けてた怪盗様が、耳朶に下がった棒ピアスのうちの1本を、武骨な指先で摘まむと、出来るだけやんわり優しい所作にて スルリと撫でる。
“上手い夜食が待ってるってんなら、
尚更とっとと片付けねぇとな。”
今宵の標的とした美姫は、博物館にダミーを収めた大富豪が、本物を枕元の金庫に入れっぱなしにしている、海泡石にダイヤとサファイアを象眼した天女の像。まずはこちらから連れ出しての、次には博物館の影武者さんをもお誘いし、庭先にてのご対面、並べて飾ってあげましょうという計画で。その庭園では秋の紅葉のライトアップを開催中。なので、十時までなら人目がたんとあるから、そこへと置けば…富豪と馴れ合いの館長としては、慌てて引っ込めることも握り潰すことも出来はすまい。
“しかも今日からって初日だから、ナイトニュースへの取材陣が来てっしな。”
こ〜んなスクープ、現場で拾って黙ってやしなかろう。箝口令も間に合うまいと踏んでの、今回は珍しく“人の目があるうちに片付ける”のが目当ての策だったりする。
“近ごろは多いんだよな。レプリカをわざと失くして盗まれたと報告しの、それで保険金をいただこうってセコイのが。”
他の美術館でもそれをやらかし、死者も怪我人も建物への損傷も出なかったものの、警備会社が信用を失墜させられ、そりゃあ生真面目だった主任がクビになっていることは、あんまり知られてはいなくって。なかなか向かっ腹の立つ仕事だったので、待機中の身、少々 気が立ちかけてもいたのだけれど、
『もうバレバレみてぇだから、
今言っとく。』
『誕生日おめでとう、ゾロ。』
サプライズにしたかったらしいが、話のもって行きようが見え見えだった。頭の中の備忘録へのヒントや何やとして、使うことが一番多いのが“誕生日”だから。今日が何の日かくらい、一応は記憶の一番端っこに掠めてもいたゾロにしてみりゃ、気がつかない方が大問題。可愛いもんだなと苦笑が止まらないでいた怪盗さんが、ふるり、かぶりを振ると打って変わっての真剣本気の顔になる。天女の像なんてな冷たい美女とのデートはさっさと切り上げて、早く坊やの“手作りケーキ”とやらを拝みに行かなくちゃ、と。ネットを外すと、足元の暗転奈落へとその身を躍らせたのでした。
HAPPY BIRTHDAY! TO ZORO!
〜Fine〜 07.11.23.
ついでの野暮な説明を付け足すと、
いつぞやルフィがウソップに作らせた、
骨振動で本人にだけ聞こえる
レシーバー機能をつけた
例の棒ピアスでの会話です。
サンジお兄様、
ルフィも食べるからしゃあなくだと、
ぶうぶう言いつつ料理作らされてたり。
ナミさんはナミさんで、
この日に本番とさせるよう、
巧妙に手配を操ってたりして?
そして、
一番何にも知らない可愛い子ちゃんは、
せっせとケーキ作りに日々を費やし、
毎日のおやつも
ケーキ三昧(失敗作)になったので、
それもまたラッキーvvとか
思ってたら笑えます♪ (苦笑)