■ルフィ親分捕物帖


□背は口ほどに物を言い…?
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初夏の長雨、梅雨が明ければ、
いよいよ本格的な夏が来る。
ところで、日本人の大部分は、
明治の頃となるまで、
あんまり“泳ぎ”を得手としなかった。
夏の娯楽だなんてとんでもない、
大の大人でも、
肌脱ぎしていても はしたなくはない
男の人でも、
漁師に船頭さん、
材木を堀に浮かべて扱う
木場の職人やらでもない限り、
川や海にわざわざ入るという
風習はなかったそうで。
よって深いところへ落っこちたなら、
着物のせいじゃあなく
カナヅチだったことが原因で、
そのまま溺れてしまうことも
多々あったとか。
暑い盛りに水辺へ駆け込み、
くるぶしや膝まで浸かって
涼をとるなんてのは
年端の行かぬ子供のすること。
大人の涼み方といえば、
せいぜいタライに水を張っての
行水がいいところ。
沐浴も小まめにするし、
大衆浴場での湯浴みも平気な
国民なのにと思うと、
ちょっと妙な話ですよね。
やはり泳ぐのには適さない
着物の形が悪かったのでしょかねぇ。
海女さんが着ていたような、
れいざあ社の水泳用浴衣とか
無かったんだろか。(おいおい)
なので、
徳のある修験者と
誉れも高かった久米の仙人が、
沢で洗濯をしていた娘さんの
ふくらはぎの瑞々しさを目にし、
ころっと参って雲から落ちたという逸話も、
それが実在実話だったなら、
不純な気持ちが催したからじゃあなく、
思いがけなく目にしたものへ、
単に吃驚したせいなのかも知れませぬ。

 ……白々しいですか?




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