【長編】r

□初めの愛 1
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「隼人。もういい加減起きなよ。学校遅刻する。」
「う〜ん…。も、もうちょっと…」
「さっきも、あと5分って言ったよ。もう5分経った。」

僕はこの子に対してはどうしても甘やかしてしまう。泣く子も黙る風紀委員長はどこへやら、自分で自分に呆れるしかない。もともとこんなことになった原因は5年前、僕が10才になって何ヶ月か経ったときだったーー


ー5年前

「よう、お前ら元気にやってっか?」
「シャマル…!」
「なに、帰ってきたの?」
「あなたが帰ってくるということは、厄介事でも押し付けにきたんですか?」
「おいおい…。ちょっとは歓迎してくれたっていいじゃねぇか。せっかくお父さんが帰ってきたのによ。」
「帰ってきてなんて言ってない。」
「まぁまぁ、恭弥。それでなんで帰ってきたんだ?」
「あぁ、実はな…お前らの新しい兄弟だ。ほら。」

そう言ってどこに隠し持っていたのか、生まれてまだそれほど日にちの経っていない赤ちゃんを僕に渡してきた。

「やはり、厄介事ですか。」
「厄介事じゃねぇって、骸。お前らの兄弟なんだから。」
「またかよ。恭弥と骸の時もそんな事言って、オレ1人ですっげー大変だったんだぞ。」
「まぁまぁ落ち着け、ディーノ。今回は1人じゃねぇから。じゃあよろしくな。」

そう言ってシャマルはいつものようにふらふらっと家をでて行った。





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