九尾の狐。

□旅過。
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あれから十日。


通常業務を行い。いつも通りの生活を送っている白蘭。

適当に執務をこなし。遊んで、食べて。

しかし、片割れの白哉の様子を見るのは何とも言えなかった。


『(こう言う時、どうすればいいんだろう。白の誇りを汚すのも朽木家の者としても、零番隊隊長としても・・・・・・)』



机に伏してムスーと考え耽る白蘭の前に湯飲みがおかれた。

八月に入った為暑い。その為冷えたお茶を出した白哉だった。


「考え事に夢中になり私に気が付かないなど兄らしくない」
『そう言わないでよぉ・・・白蘭も悩み多き年頃なんだからぁ』
「悩み?世界から一番兄から遠い言葉ではないか」


ビシッ


白哉の頭にチョップをかます白蘭。


「何をする」
『ふん!だぁ』
「ふっ」

顔を膨らませ冷えたお茶を飲む白蘭に困った様に笑った白哉。



カカカカカカ



”西方郛外区に歪面反応!三号から八号域に警戒令!繰り返す!”


「・・・何事だ」
『西方郛外区ぅ?(喜助が拠点としていた辺りじゃないさぁ!)』


面倒だねぇ。と言いながら九月を取り背中に差す。と言うか、帯に又紐状の布がついておりそこに左右対称に横向きにつけると言った方が正しい。
砕蜂の様な感じにつけている。



少しすると、瀞霊門が下がるのを感じた。


『んー(突破させる可能性は低いだろうなぁ。・・・・・・瀞霊廷に用事があるとしたら・・・)ん?白道門辺りにギンちゃんが居る』
「命令なしの単独行動か・・・」


白蘭の言葉に白哉は呆れた顔をしてお茶を啜った。



日が沈み、白哉と白蘭は隊舎の自室で休む事となった。

自室で窓から見える月を見る。


『白蘭の考えが正しかったら・・・・・・ルキアから感じたあの違和感。喜助が拠点としていた辺りの歪面反応・・・・・・恨むよ?喜助・・・・・・』


そして、九月を膝に乗せて目を閉じる。



スゥッと精神世界に入ると九月がノンビリと社の前で欠伸をしていた。



《主よ》
『眠そうだね』
《そうじゃな。主は我を抜く呼ぶ事が少ないからのぉ》
『仕方無いじゃん。でも、こうやって頻繁に姿見せてるんだから勘弁してよぉ』


白蘭は九月の毛並みに埋まる。


『フサフサァ♪』
《・・・悩み事が多いの》
『・・・・・・ガラにもなくねぇ。どうしたら良いのか・・・・・・甘ったれた事は考えてないけど、優先順位が解らなくて・・・』


九月は尻尾をパタパタさせる。


『一番は解ってるんだよ?二番と三番が解んなくて・・・・』
《好きな様に踊るが良い》
『・・・・・・!?』
《己が正しいと思うやり方をすれば良いだけの話じゃ。我はそんな主だから着いていくのじゃ》
『九ちゃん』
《その呼び方は止めんか!》


キャンッと九月は叫ぶ。


《体は成長しても中身は子供のままじゃの、主》
『なぁ!?そんな事ないもん!!』
《ムキになるあたりがそうじゃよ》
『にゅにゅ〜』
《変わってくれるでないぞ?主よ》



そうして目を開けると意識は自室にあった。


『解ってますよーだ!』


白蘭は着流しに着替えた。
長い髪も解きサラサラと揺れる。


『よっこいしょ』


羽織を肩にかけると自室を出て白哉の自室に向かった。と、言っても隣な為直ぐに着く。


『そぉ〜』
「どうした」


障子を少し開けると同じく着流しに羽織を肩にかける白哉が布団をひいていた。


『一緒に寝て良い?』
「はぁ。お前はいくつだ」
『白と同い年』
「年頃なのではなかったのか?」
『・・・・・・』
「まぁ、良い。入れ」
『白、ダイスキー♪』


ギュウッと抱きつく。


一つの布団に二人は小さいが、白蘭が小柄な為窮屈感を感じなかった白哉。
白哉の腕枕で、おやすみ三秒の白蘭を笑い、自分も寝た。







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