九尾の狐。

□黒崎一護。
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「どうしたんスか?夜一サン」


空を見上げる一匹の黒猫にミルクと皿を持って来た浦原が話しかける。


「雨でもきそうっスか?」
「安い演技をするな、喜助。解っておるのだろう。
奴等が来ておるぞ」


普通に話す猫に浦原が目を細める。


「・・・その話、ミルクの前と後どっちにしましょ?」



陽が昇り、また夜になる。


ルキアは一軒の家から出ると逃げる様に走る。


「背面適合113!神経融合率88.5!
マジかよ!ホントに義骸に入ってんじゃねーか・・・。映像庁の情報なんかアテになんねーと思ってたのによ・・・」
『いや。白蘭も言ったじゃん・・・信じてなかったのぉ?』
「あ・・・いえ。・・・・・・朽木ルキア・・・見ィーつーけた!」


白蘭、白哉、恋次はルキアの姿を確認した。


走り続けるルキアは考え事をしているのか、こちらに全く気が着かない。


「私は・・・少し・・・こちらの世界に長く関わりすぎたのか・・・」
「イィエーッス!!」
「!!」
「わかってんじゃねぇか!!」


聞こえてくる声にルキアが反応し、振り向く。


「まァ。言い方変えりゃ、こうして現世に長居したおかげで・・・てめぇは、ちっとばかし長生き出来たってコトだがな!ルキア!!」
「・・・貴様・・・恋次・・・!阿散井恋次か・・・!?」


ガン


驚くルキアに恋次は刀を振り下ろす。


「尸魂界からの追手が背後に迫ってるってのに、考え事に夢中で声かけられるまで気付かねぇってか?」


ビリビリと伝わる霊圧。


「いくら義骸の身とは言え、二月三月でちいっとユルみ過ぎじゃねぇか?」


ゆっくり地面から離れる刀。


「吐けよ、ルキア。てめーの能力を奪った人間はどこにいる?」
「な・・・何を言っておるのだ・・・?義骸に入っておるからといって力を奪われたとは限らぬし・・・まして、その力を奪った相手が人間などと・・・」
「人間だよ!」


恋次は言い切る。


「でなきゃ、てめーがそんな、人間みてーな表情してる筈が無い!」


目を見開くルキア。


「俺と同じ流魂街の出でありながら、大貴族朽木家に拾われ、死神としての英才教育を施された朽木ルキアともあろう者がァ!
そんな、人間みてーな表情してていい筈が無ぇんだよ!!

なァ!朽木隊長!白蘭隊長!!」


振り向くルキアの前に白哉と白蘭が立っていた。


「白哉・・・兄様・・・・・・白蘭・・・姉様・・・・・・!」


双子の表情は正反対だがルキアは冷や汗を流す。



「・・・ルキア・・・」
『何時間振りだねぇ♪』


ギャン

ザザザザザザザ


「・・・人間への死神能力の譲渡は重罪だぜ。その処刑を刑軍どもじゃなく俺達に任せたのは上なりの優しさだろうよ」


頬に一本線が入り血を流すルキア。


「さァ。居所を吐けよルキア。俺達は、てめーを捕らえ、てめーから力を奪った奴を殺す。
・・・庇いだてするなよ。わかってんだろ?さっきのも、今のも、躱したんじゃない、躱させてやったんだ。

次は斬るぜ」


そう言って構える恋次。


『んにゃ?』
「!!」


ドッ


恋次とルキアの間に何かが走った。






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