キリリク・企画小説
□1ヶ月の方程式
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「俺…、獄寺のこと…好きなんだ。」
†1ヶ月の方程式†
山本が俺にそんなことを言ったのは、今から3週間くらい前。
いつもヘラヘラ笑ってる野球バカが、すっごく真剣な顔して、俺のこと見てて。
放課後のちょっと切ない雰囲気とか。
オレンジ色に傾く夕日だとかが、まるでドラマのワンシーンみたいで。
言うつもりもなかったのに、それなのに。
気づいたら。
『俺も好き。』
って山本の眼を見ながら言ってた。
雰囲気に流されて言ってしまった俺は馬鹿だ。
「山本くん、今度の日曜日空いてる?」
今、目の前で繰り広げられている光景を見てしまうと、そう思わずにはいられなかった。
俺と山本が付き合いだしたのなんかクラスの誰も知らない。
10代目といつも3人で行動している俺らは、付き合おうが付き合わなかろうが変わっていないからだ。
それに、俺と山本は男同士。
どんだけ一緒に居ようと、周りからは友達にしか見られない。
「悪ぃ。次の日曜日は予定があるんだ。」
「そっか。残念。」
そう言って寂しそうにはにかむ女子に『ザマァミロ』とか心の中で呟く俺は本当に馬鹿だと思う。