キリリク・企画小説

□忘れモノは何ですか?
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山本に背負われながら学校までの道をいく。
修学旅行は学校集合らしい。


前から見られるならまだしも後ろから見られたら情けないことこの上ないこの態勢。
屈辱的だけど、今は未だまともに歩ける自信がない。

俺は全体重をかけて野球バカを苦しめることに決めた。


俺がしなだれかかっていると何故か山本は上機嫌に鼻唄なんかし始める。

頭に響くその唄を聴きながら早く学校に着くことを祈った。





「獄寺。歩けるか?」


眼を瞑っていた俺を山本が揺する。

姉貴を見てから大分経ったこともあり、気分も快復していた。


「あ゛?ぁあ、歩ける…。」


山本は俺をその場に降ろすと『良かったな。』って笑って頭をグシャグシャ撫でできた。
髪型が崩れるから止めて欲しかったが、ここまでの礼として大人しくしてやった。
恥ずかしくて顔が上げられずにいると『ちゅっ』と音がして、額に柔らかい感触が残った。


「おまっ!!お前っ!!!!」

「はは。早く行こうぜ。」


俺は右手で額を覆い、空いてる手を山本に引かれて皆が居る場所まで行った。


もうそこには10代目がいらっしゃって、笹川の妹と楽しげにご歓談されていた。


「10代目っ!!」
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