キリリク・企画小説

□人魚姫
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―もし愛されないのなら…


―泡となって消えよう。。。





†人魚姫†





俺がアイツを見たのは入学式の前だった。
中学の頃からあまり学校というモノに興味を持てなかった俺は、その日の入学式でさえも面倒で、独り花見でもしていようと思って河原まで来ていた。

その時、思わず眼を見張った。

視界の中には輝くばかりの眩しい銀髪。
色も白くて儚げな姿だった。
アイツは俺と同じ制服を着ていた。
俺はパンツも腰まで下げてるし、シャツも中に入れてなかったし、だらしない着方していたんだけど、アイツはボタンを全部しっかりとめて、ネクタイをきちんとしめて、『優等生』の模範みたいな着方だった。

もうすぐ入学式も始まるというのにアイツは河原近くの桜の木を見上げたまま動く気配がない。


「ねぇ、もうすぐ入学式だよ?」


こっちを振り向いた瞳はそんな儚げな感じを払拭するぐらいに熱く光っていた。


「貴様に言われんでも知っている。」

「行かないの?」

「指図される謂われはない!!」


そのまま歩きだしたその強気な雰囲気に息を飲んだ。

それが出会い。
それが始まり。

アイツの事が気になった。
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