虚偽と嘲笑

□病的に歪んだ愛情表現
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「も ヤメテッ お願い!」
「聞こえませんね」
「ベリアル!」


目の前で全身を痙攣させる男性に手を伸ばしたくても身動き一つとれない。もう意識がないだろうその男性に悪魔は容赦なく黒光りする鞭を振るう。鈍い音と同時に男性の悲痛な呻きが響いた。もう見たくない聞きたくない、そう思って目を固く閉じて耳を塞ごうにも身体が言う事をきかない。瞑りたいのに瞼は降りず、肉の裂ける音など聞きたくないのに手が動かない。もうどのくらいの時間見続けさせられているのか、鞭を執拗に打ち付けられた男性の身体は赤紫に腫れ上がりドス黒い血にまみれている。


「も、ヤダ…」


男性の横腹からは腸などの内臓が飛び出している。絶妙なコントロールで何度も同じ場所に鞭をあてられ皮膚が裂け臓物が流れ出たのだ。それでも人間の生命力とはなんと強いのか、男性は虫の息ながらいまだ生きている。早い段階で眼球は鞭によって両目とも潰されドロリとした水晶体が無惨にもぶら下がっているだけで。


「ミア よく見ておきなさい」


息一つ乱さず悪魔は妖艶に微笑む。彼はグチャグチャと嫌な音をたてながら男の飛び出た内臓を踏み潰した。その光景に堪えきれず、


「ウ、オェッ」


 狂 ッ テ ル

溢れる涙と共に胃の内容物が一気に外に出た。辺りに異臭が漂うが気にする余裕などない、嗚呼どうして。


「おや 死にましたか、存外もちませんでしたね」
「ウ アァ……な、んで」
「貴方が悪いのですよ ミア」


いつの間にか私の目の前にいる悪魔はいつもと変わらぬ美しい顔に返り血を浴びている。


「あのゴミに笑顔を向けるなんて」
「愛想、笑いなのに」
「何であろうと許しません」
「な…で殺し、たの」
「ゴミだからです」
「彼、は人間よッ」
「ゴミは始末するのが世の常ですからね」


何を言っても伝わらない、結局私が男に笑顔を向けたから男は拷問をされて絶命した、そんなの理不尽過ぎる。


「嗚呼 いいですね、汚物にまみれた貴方は」


一瞬にして私の視界は天井に向いていた。私の上には美しく穢れた悪魔が覆い被さるようにいて。あっという間の出来事で頭がついていかない。


「ミアの悲痛に歪む顔はそそりますね」
「やめ、て」
「貴方を見ていたら興奮してきました」
「何言って、」


着ている洋服が一瞬で切り刻まれる。悪魔の白く細い指が私の肌に這い一気に身体が強張った。


「ヤ、ダッ やめてベリアル!」


必死に手足をバタつかせても無駄なのはわかっている、だがこんなところで抱かれるのは嫌だ。


「ヒッ 」


かつて人間だったそれは静かにこちらを視ていた。潰れてもうない筈の眼が私たちを怨みがましく睨んでいるようで。


「どこを見ているんです」
「ウァッ 痛、いっ」


突然乳首を食い千切るくらい強く噛まれ身体が跳ねる。目の前にいる悪魔は不機嫌に眉を寄せていた。


「そんなにあのゴミが気になるのですか」
「ち、違っ」
「死んでも邪魔するとは どうしようもない虫けらですね」


そう悪魔が呟くと男の身体は真っ青な炎に包まれみるみるうちに焼け爛れ骨さえも綺麗に消え去った。まるで男の存在など初めからなかったかのように。


「貴方が視界に入れていいのは私だけですよ」
「うあァッ ヤメテェ!」


まだ濡れていない秘部に悪魔は唾液で濡らした指を突っ込む。濃い血の臭いが充満する室内にいては色欲などわくわけがない、なのに悪魔は巧みに指を動かして私の快感を無理矢理引き摺り出す。


「アアア゛ァー!」


一層血の臭いが濃くなったと思えば悪魔が私の中に割って入ってきた。


「やはりミアの中はいつしても狭いですね」
「イヤッ イ、ヤァ!」
「絡み付く感じが堪りません」


ろくな前戯もないまま、まだ準備の出来ていない私の身体を悪魔は容赦なく貫く。濃厚過ぎる血の臭いで息がつまり、だがそんな私にお構い無しに挿入し続ける悪魔は嬉しそうな笑い声をあげる。ゴリゴリと膣の中を移動する物体にさっきとは違った気持ち悪さが沸き上がってきた。


「貴方のすべてを支配しているのは誰です?」
「アアァ ンア!」
「どうしました、そんな事も言えないのですか」
「ベ……アルッ」
「はっきり言いなさい」
「ベリア、ルッ!」


もう嫌というほど教え込まれた身体は、自らの意志とは関係なく反応する。そんな私に気を良くしたのか、悪魔は美麗な顔を更に輝かしい笑顔に変えて口付けをした。










狂ってしまったのは、

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