中話

□間。
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『天水地区市街地再開発事業
地元説明会』。

降りしきる雨の中、そう書かれた看板が立て掛けられてある公民館の前に、一人の少女が佇んでいた。
制服を着ていることから学生なのだろう。しかし冬の寒さに対し制服だけでは些か寒い夜だった。加えて、少女は傘以外、何一つ手荷物をもっていない。


「………」


だが少女は何も気にしていない様子だった。瞳はただ静かに落ち着き払っていた。少女は髪とスカートを揺らして、自動扉の向こうに足を踏み入れる。黒のローファーが、静かに鳴り響いた。




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