ごちゃごちゃ

□透かし紙
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「はい?キラについて?」

彼女が弁当に箸をつけようとしたまさにその時に問い掛けた。左手に弁当、右手に箸を持ったままの恰好で首を傾げる。

「何、いきなり」

「ほら、最近話題になってるだろ?お前はどうなんだろうと思って」

「最近っていうか随分前からだけど。そうだな、……」

弁当を持った手を下ろし、箸を持った手を顎にもってきて、少し真面目な顔になる。普段からはあまり見られない(本人に言ったら睨まれるだろうが)。


「怖くないのかな、って思うよ」

「……怖い?」

「うん、私だったら発狂する。犯罪者といえど、これだけの人を殺した。いつか痛いしっぺ返しを食らうかもしれないし『キラ』は今、人を殺した事にとてつもない罪悪感に囚われているかもしれない。少なからずあちこちから反感や強い怨みを買っているわけだし」

「おいおい。キラは人を殺すことが正義だと思っているのかもしれないんだぞ?現に犯罪や戦争は減ったし、それで勘違いに拍車がかかっているかもしれない」


「うーん、でも月は人を殺すことイコール正義だなんてそんな極端な考えはしないでしょ?犯罪とか戦争が無くなったのは計算してのことだろうし。次の生まれ変わった世界で真の平和、崩れない秩序、絶対の規則が人々を律する世界の神になるためにさ。
そうでしょ?ねえ月。」


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