ごちゃごちゃ
□卑怯が愛を示した日
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やばいやばいやばいやばい
迫り来る電車と見つめ合いながら頭は真っ白、ただ一つの感情に支配された。
死にたくない
死にたくない死にたくない
けれど肢体はホームから投げ出されていて一刻一刻がスローなモーションに見えていく。民衆のざわめきと電車のクラクションが物凄く遠くゆっくりと聞こえ、て。
異常なまでにゆっくりな時の流れの中、今私が立っていたところに瞳だけを動かすとそいつがいた、私の背中を押したそいつが。
目が、合う。
『ばいばい』
嫌味な程はっきりと、口の形がそう告げた。
「いざ、」
どうして。
瞬間、時は元の速さに戻り、私の涙や感情や身体や悲鳴をあげようと開いた口は耳障りな掛け損ないのブレーキ音に飲み込まれた。
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