長話

□厳冬ショッピング
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ぴゅう。
玄関から一歩外へ踏み出すと、外は凍える気温だった。
冬の風の厳しさは、突き刺される痛みに似ている。あまりに敵意を持った寒さに微かに眉が寄った。寒いというより、ひどく冷たい。


「わー、寒い…」

と言って身を縮める月海。

「すっかり冬ねえ」

空を見上げた千絵子さん。

「これしきの寒さ!呂布のごとく燃え盛る闘志で掻き消してくれるわー!」

きえー!と荒ぶる鷹のポーズを決めたまやや。元気だ。

「早くいこう」

一同を促すばんばさん。

「風邪をひくといけませんから…」

一同を心配するジジ様。

彼女らが好んで出かける理由はただ一つ。週に一度の鍋パーティーの買い出しだ。肉は、またあのお洒落さんが持ってきてくれるらしい。一流の肉だったしその分代金も浮くのだが、いいのだろうか。


「それじゃあ、行きましょ」

「一座、出陣んんんん!!」


まやや、元気だ。

ひゅう、とまた氷のような風が通り過ぎていった。むき出しの首もとからみるみる体温を奪っていく。
酷く寒いなあと思ってから、ああ、マフラーは貸してしまったんだと思い出した。






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