長話
□互違シンキング
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右手に、空になったコップ。
茶をお代わりするために一階へ降りると、クラゲ水槽に見入る月海とお洒落な彼女がいた。高身長なお洒落さんと低身長なオタクはもはや見慣れたちぐはぐなタッグだ。近づくと挨拶された。そういえば。
「この間来てたよ」
「え?」
「なにが?イノシシ?」
「お洒落さんのお兄さん」
「「えええ!!?」」
たった一言に二人して豹変、クラゲからこちらに標的を変えて詰め寄ってきた。
「なななっ、なんて言ってました!?」
「兄貴、何しにきたワケ!?」
近い。顔が。
「月海に挨拶だって」
「「で!?」」
「諦めて帰っていった」
問いに答えを返したあとの二人の反応は別々だった。月海は落ち込みだし、お洒落さんは何やら真剣に考え込み始めた。
「やっぱり私なんかには会いたくなくて……うう…」
「兄貴のヤツ………」
厄介事が増えたらしい。
言わない方が、良かったのだろうか。
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