短話

□反転世界
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「マスター」

逆さまの世界にあなたはいる。
あなたは足を空につけて、僕らは足に地をつけて生きている。
僕の目にあなたは逆さまに映っている。
名前を呼べば近くに来てくれるけれど、決して同じ水平の地に足をつけようとはしない。

「マスター」

呼べば笑顔を見せて返事をしてくれる。
けれど僕達は同じ視点を共有することができない。
マスターはいつも青い空を闊歩している。人間はいつも重力が反転している。
ミクやレンはこっちにいるのに。
マスター
人間さん、あなた達はなぜいつも逆さまなのだろう。
マスターが小首を傾げた。
見上げると逆さまのあなたと視線が合う。マスターは不思議そうな感情を瞳に浮かべて、口をひらいた。

「ねえカイト。あなたはなぜ逆さまなの?地に足をつければいいじゃない」


嗚呼、逆さまなのは僕らの方だったのだろうか?











反転世界
(異なるものどうしはきっと
同じ居場所になどいられない)
(世界が定めた宿命)

(くつがえせない規律)

(絶対服従の秩序)

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