短話

□混迷協同戦線
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そいつは突然やってきて、我が物顔でこう言った。


「情報屋でしょ?助けてよ」

は?

「君、何者?どうやってこの部屋に来たわけ?一応このマンション、一級セキュリティのはずなんだけど」

「壊した」

「え」

「一階のガラスの扉みたいの。開かなかったから壊した」

「そりゃパスワード入力しないと開かないさ」

「そんな些細な事はどうでも良くて」

公共物破損を『些細な事』と言い捨てて、そいつは冒頭と同じ言葉を繰り返した。

「全く…君ってば非常識の固まりみたいな人間だね?挨拶もなければ名乗ろうともしない」

「知ってる。でももっと非常識な人間を知ってる」

「平和島静雄」

「あいつの情報を教えろ」

「私が唯一、力で負けた人間」


バタバタと外が騒がしくなった。おそらくは壊された扉を把握したセキュリティ会社が異常に駆け付けたのだろう。律義なことだ。

「あーあー。君がワンパクするから大事になっちゃったじゃないか」


「じゃあ、倒してくる?」

「君みたいな女の子が言うと冗談にしか聞こえないけど。いいよ行かなくて。今手を打った」

「そう。で、平和島静雄のことは」

「あんまりその名前を連呼しないでくれると有り難いんだけど。シズちゃんねえ…弱点があるならとっくに俺が殺してるよ」


「殺すって。嫌いなのか?」

「愚問だね。まさか俺とシズちゃんの関係を知らないとは」

「知らない。それより平和島静雄の情報は?お前は平和島静雄と何か関係があるのか」

少女はなんとかの一つ覚えみたいに同じ言葉を繰り返す。

「シズちゃんは俺がだーい嫌いなバケモノ。」

「…それだけ?」

「これ以上知りたいなら課金することだね」

「なにそれ。殴っていい?」

「ハハッ、それ勘弁。そうだなあ、目的も一致してるし、手持ちが無いなら」

「私がいつ手持ちが無いと言ったんだよ」

「手を組もうか。その名も『打倒シズちゃん党』」

「(うさんくせえ)ちゃんと奴を追ってくれるならな」

「約束するよ」











混迷共同戦線

(利用して利用されて
吸い付くせ)








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