短話

□そしてきらりと光った刃物
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「ねー、お茶ちょーだい」

「自分でどうぞ」

とんとんとんとん。リズミカルに包丁とまな板がぶつかる音。

「おーちゃー」

「見ればわかるでしょう。手一杯です」

「手を止めればいいじゃない」

「誰の夕飯を作ってやってると思ってるんだ、誰の」

だいたいこの時期に鍋ってどういう神経してるんだ……と不機嫌を隠さない彼女に肩をすくめて見せる。

「最近俺の扱いが酷くなってるのは気のせいかな」

「気のせいじゃないですよ、安心して」

「わあひっどーい。俺は君をこんなに愛してるのに」

「妖刀にすら嫌われてる臨也さんに言われたくないです」

「なんでそれ知ってるの」

「なんで、って」


心底呆れたような声音。くるりとこちらを振り向いたその瞳は赤、赤、赤。

「『母さん』に聞いたからに決まってるじゃないですか」










そしてきらりと光った刃物






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