短話
□頼れるあにき
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「ユーリさーん、たすけてー」
「なんだ」
「…眠れません」
ド真夜中のことでした。
見張り役として魔物避けの焚火とにらめっこしていた下町青年ユーリさんは、呆れをため息にして盛大に吐き出してくれましたとさ。
「寝る前」
「へい?」
「…何、飲んだ」
「エ?ナニモ」
「へえ、じゃあコーヒー豆が減ってんのはなんでかね?」
「ら、ラピードが、」
「馬鹿か」
そこらの餓鬼んちょでももっとマシな言い訳するよ、と呆れる下町青年。ぬぬぬ、こやつはエスパーか!
「寝巻に包まって目ー閉じて羊でも数えてろ」
「あ、ねえねえ羊じゃなくてオタオタでもいい?」
「……好きにすりゃいいんじゃねえの」
呆れため息、リターン。幸せが尽きるってレベルじゃねーぞ!
「ねえユーリ」
「なんだ」
「ありがとね」
ニヘッと笑えば、ユーリは半分呆れて、でももう半分は笑顔で「おう」と言った。
頼れるあにき
(……ユーリ、やっぱり眠れない)
(オレにどうしろと)
(あっ、ユーリが子守歌歌ってくれたらぐぶっ!!)
(そーかそーか、なら力づくで眠らせてやる)
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