ガンダムSEED Destiny
□翼をください
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――割り切れよ。でないと……死ぬぞ。
そう言った緑色の瞳はまるで波一つない水面のように、静かだった……。
翼をください
何かが、したかった。
黙って何もせずに見ているのが嫌だった。
ただ、それだけだった。
だから自分の意思で軍に戻った。軍服に袖を通した。
分かっていたつもりだった。
復隊するということは再び戦地に赴くということ。
殺らなければ殺られる。
それくらいの覚悟はできているつもりだった。
でも、それは中途半端な覚悟だった。
戦いに臨む者としてあるまじき為体だった。
その俺の弱さが、掛け替えのない仲間を殺した――。
何のために戦っているのかが分からなくなった。
こんなことを望んでいたのではない。
そう。
誰もこんなことは望んでいなかった。
立場こそ違えど、皆、戦いを終わらせたいと、平和な世界にしたいと、そう願っていた。
同じだったはずなのだ。
しかし立場の違いが、所属する組織の違いが、同じ願いを持つもの同士を戦わせた。殺し合わせた。
失われるはずのなかった命を奪った。
互いに奪い合った。
そうやって、ただ戦い続けた……。