希望的読書感想文

【き】 5件

【奇跡の人/真保裕一 (きせきのひと)】
★★★★☆
評価が二分しているこの作品。別に白兎は楽しめましたけど

交通事故にあり、植物状態からの復活は望めないといわれていた主人公は、ほぼ完治して病院を退院。ただ一点、記憶だけを除いて。彼は自分が起こした交通事故を調べ、原因が自分にあると知り…

母親の献身的な介護の日記から物語は始まります。そこだけでも一読の価値有り
批判的な意見として、リアリティーがないというのが一番多いですが、別に現実味を求める小説でもないんで、ちょっとお門違いかな、と白兎は思います。そういう人には、村上龍さんの小説がお薦めです

『ぼくはぼくだ。(中略)。君とは違う。』

(中略)には重要なキーワードが入っているので、伏せさせて頂きます(笑)


【キッドナップ・ツアー/角田光代 (きっどなっぷつあー)】
★★★★☆
白兎は雑食なので、こういう正統派な小説も読むのです。

夏休み、小学五年生のハルはお父さんに誘拐されてしまい二人旅にでる。情けないお父さんと気丈でちょっと生意気なハル。二人の旅は一体どうなるのか?
ってな話です。児童文学に属しますが、結構読ませます。普通に感動しました(笑)

角田光代さんの小説は幾つか読みましたが、どいつもこいつもハイクオリティなのでお薦めです。

『私はきっとろくでもない大人になる。』


【きつねのはなし/森見登美彦 (きつねのはなし)】
★★★★☆
森見登美彦氏の唯一、最初から最後の話までネタ無しで書いた短編集。古道具屋のバイトである大学生が不気味な老人への配達を任される表題作「きつねのはなし」、失踪した尊敬する先輩とその彼女の話「果実の中の龍」、夜に人が襲われる町で奇怪な生物と遭遇した家庭教師「魔」、祖父の死によって屋敷に封じ込められていた何かと一族の歴史「水神」。

白兎は表題作と「果実の中の龍」がお勧め。特に表題作は、『夜市/恒川光太郎』の様なホラーテイストで、いつものおふざけ森見氏からは想像出来ません。

森見氏の本気を見てみたいという方にお勧め。

『もう君は私の欲しいものを持っていない』


【きのうの世界/恩田陸 (きのうのせかい)】
★★☆☆☆
白兎は恩田陸さんが大好きなので、御自身の集大成という発言を聴いて、図書館にしました(笑)

面白かったですよ〜

ある街の外れ、水の無い川に架かった橋の上で死んでいるのが発見された行方不明中の男性。その事件を調べにきた「あなた」は男性が街のある秘密をかぎまわっていた事を知って…ってな話です。
ミステリーだと思って読むと痛い目にあうと思います
というか、このあらすじでは誰でもミステリーだと思うと思いますが、ところがどっこい、これを書いたのは「恩田陸」さんなんですよ
ですから、恩田慣れしていないと(どんな慣れだ?)、肩透かしというか、そんなのありかよという気分になると思います
な〜んかなぁ…
面白いんだけど…
一般受けしない感じ。
というのが本音。

星2つです。
万人受けを狙うのが無理なのはわかるけど、こうもマニア向けに作られるのはちょっとね。と、心の中の黒兎が申しております。

『あの時の私にとって、昨日までの世界は、既に別世界の出来事だったのだ。』


【球形の季節/恩田陸 (きゅうけいのきせつ)】
★★★★☆
恩田さんの原点かと思われる(というか、白兎が勝手にそう思っている)作品。

奇妙な噂が広がり、その噂通りに女生徒が失踪。町は恐怖に包まれ、金平糖のおまじないが流行り、新たな噂に生徒逹は怯えていた…

というお話。
怖さあり、噂あり、未知の世界ありの困った話
面白いんだけど、物語は読者の思い通りに転がらない。これは恩田さんの特徴かと白兎は思います。
個人的にはみのりの悩みながらも、自分の解答を見つけていく姿が好きです。
退屈な学生生活に飽き飽きしている人は是非どうぞ。

『―でも、あたしたちは今でも祈っているではないか?
いつまでも、みんな一緒に、幸せに。』



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