希望的読書感想文

【う】 3件

【海と毒薬/遠藤周作 (うみとどくやく)】
★★★★☆
白兎だって学生だから純文学も読まなければなりません
この本は白兎の純文学嫌いを直してくれた一冊です。

戦時中、大学病院で医師をしていた青年達は何故、米国人捕虜の生体解剖を行ったのか?

というお話。
重いです。が、主題は生体解剖をするに当たっての医師や看護婦達の心理描写になっていますので、不必要にグロテスクな描写は登場しません。
ただ、それがないからこその不快感・恐怖感は残ります。

白兎は戸田の話が一番印象に残っています

『そやろか。俺たちはいつまでも同じことやろか。』


【裏庭/梨木香歩 (うらにわ)】
★★★★★
児童文学ファンタジー大賞受賞作。しかし、児童文学を侮る事なかれ

照美は、両親との関係が日に日に悪くなっているのを感じていた。会話や感覚のズレは大きくなり、嫌気が差した照美は、英会話教室をサボって「バーンズ屋敷」の"裏庭"へと入り込み…

というお話。
その"裏庭"の世界がファンタジーなのですが、一風変わった世界観で読者を圧倒します。
魔法が横行したり、剣士や格闘家がいる訳でもなく、ただ、この世界とは決定的に何かが違う世界を展開していきます。
照美はその世界で何を学び、どう変わっていくのか注目です。

現実世界とリンクしている"裏庭"には、信じられない位の伏線が仕掛けられており、最後まで読み終えたら、梨木さんの並大抵でない構成力に感嘆するしかありません

あまり語ると、ボロやネタバレが出そうなので、ここらへんにしておきます(汗)
荻原規子さんや上橋菜穂子さんと肩を並べる事が出来るファンタジーであると、この白兎、不肖ながら保証致します

児童文学にしては、救いのないエピソードや、恐ろしい描写がありますので、ファンタジーというジャンルで安易に飛び付いてはいけません(笑)

小学校6年生以上、ファンタジー好きな方にお勧めします。

『また、戻ってきてくれたんだね』


【噂/荻原浩 (うわさ)】
★★★★☆
猟奇的殺人犯を追う、ミステリー。荻原さんのコメディ色のある作品とは違った系統のお話。

女子高生の噂話に、「足首を切り取る怪人がいて、女の子を襲う。しかし、ある会社の香水をつけていると襲われない。」、というものがあり、それと同じ状態で女子高生の死体が発見される。噂話の出所は、その香水のモニターである事が判明し…
というお話。
噂話は、潜在的に恐怖の要素を含んでいると白兎も思いました
それに……
最後の一行にはやられました
今まで読んだ本でも、指折りに入る程の驚き( ̄○ ̄;)
うわー、びっくりしたぁ
というより、
うわぁ…………(滝汗)
という感じ。

ややグロテスクな描写があります。

『私たちは欲望を満たしてあげる情報を送るだけ。それをどう理解するかは受け手次第だわ。非合法的なことは何もしていないはずですけれど』



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