希望的読書感想文

【し】 4件

【小説以外/恩田陸 (しょうせついがい)】
★★★★☆
恩田陸さんのあんな文やこんな文を、一冊にまとめた贅沢な本。エッセー集、という分類が正しいかと思います。

白兎は恩田陸さんの大ファンなので、よだれをたらしながら読みました(≧ω≦)b

博学でビール好き、つまみも自分で作り、マクビティのビスケットを食べながら読書をしていたという恩田さんに数歩近づけた気がします。

しかし、恩田陸さんが嫌い、とか、恩田陸さん初めて、な人はお止め頂いた方が賢明かと思います
自分の好きな作家さんのエッセーだけを読まないと、時間を浪費した気持ちになりますよ(経験談)

『読者の時間泥棒にだけはならないよう、今後も胆に命じて書いていきたいと思います。』


【新釈 走れメロス 他四篇/森見登美彦 (しんしゃくはしれめろすほかよんへん)】
★★★★☆
奇才、森見登美彦の短編集。表題作の他に「山月記」「藪の中」「桜の森の満開の下」「百物語」があります。
どれも文学史を代表する有名な話ですが、そこは森見氏の筆力で違った味わいが生まれています。内、2つはパロディ色が強いですが、残りは真面目。「きつねのはなし」で見せた背筋が寒くなるような話もあります。

文学作品を元ネタに書くなんて、なぁんて図々しい奴なんだと白兎も思いましたが、そこは大目に見てあげて下さい。やはり面白いものは面白い。
「ふざけすぎ」「才能の浪費」と某書評家に言われたこの作品。貴方も自分の文学史の知識を試してみては?

一応、元ネタの話を知っていた方が楽しめます。読書中級者向きです。因みに白兎のお勧めは「桜の森の満開の下」。読後の喪失感が秀逸です。


『彼はいつまでもそこに座っていることができます。なぜなら、彼にはもう帰るところがないのですから。』


【銃/中村文則 (じゅう)】
★★★★☆
中村文則さんのデビュー作。恐ろしい程の冷酷な描写と、結末に白兎、ぶち抜かれました

大学生の私は、拳銃を拾った。私はだんだんと拳銃に魅せられていき…

というお話。
どーせ変質者のお話でしょ?
とお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、意外にも主人公は私達とあまり変わらない思考で話が進みます。
ですから、私達も拳銃に魅せられてしまう可能性が仄かに示されているという事です

お、恐ろしい……

ダークな話や、ハッピーエンドに飽きた人はどうぞ

『そうであるから、違う未来がここに、あってもよかったのだと思った。』


【重力ピエロ/伊坂幸太郎 (じゅうりょくぴえろ)】
★★★★★
星五つです。
白兎も脱帽しました

泉水と、その弟春、そして優しい両親。素敵な家庭には辛い出来事があった。
連続放火とグラフィティアート、そして遺伝子の繋がり。その法則性を見出した泉水が見たものとは…

伊坂作品の中でも一番好きです。とにかくお父さんがカッコいい
悲しい話で、救いも有りませんが、会話はウィットに富んでいて、伊坂作品らしいです。
謎解きも面白いお薦めの一冊です。

『おまえは俺に似て、嘘が下手だ。』



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