SS

□罪な果実
1ページ/1ページ

――ピッ、ピッ、ピッ、…
  
「彼が助かる方法は…ひとつだけです。」

「沢田綱吉さん・・わかりますか?残された道は二つに一つ……」
  
 

――「あなたの心臓を獄寺 隼人さんに移植するか、しないか…どちらかです」
  
  
重苦しい空気、
今にも溢れそうな涙腺に耐えながら
真っ白な病室の片隅で俺の頭は真っ白になっている…
  
  
――――隼人が…―――
  
  
思えば最近
隼人は働きづめだったかもしれない…
更に言えば俺が頼んだ地元マフィアの抗争の事でストレスを溜め込んでいたかもしれない…
それに気付けないで、こんなになるまで……
「十代目なんて、名ばかりだ…」

医者の話によると、過労とストレス・・
ましてや、あのタバコの量だ
  
   
隼人の心臓はもうボロボロだった。――
  
  
そんな隼人を唯一救える道は、俺の心臓と隼人のを――
  
『入れ替える』事だけだ…
  
しかも、医者は最後に絶望的な言葉を残していった…
  
「もし、移植したとしても獄寺さんは助かるだろうが、沢田さんの助かる確率はほとんどなくなると思っていて下さい。」

「そこの所よく考えて下さいね?」
俺は結局自分の大好きな人を守れたためしがない
  
これはいつになってもずっとそうなんだろう
俺は誰も守れない…
でもそれは嫌だ・・・
  
隼人には悪いけど――
  
  
「ごめんね?俺、隼人を救いたいんだ…」


そうやって意識のない体に言ってから

  
せめて、かけがえのないあなたに幾つもの愛を落としていく…
額に
頬に
首筋に
  
  
いつも隼人は俺に愛をくれた…
くれた分だけ、今度は…
  
そのくれた愛の数だけ 俺は隼人に愛を落とすから…

 
  
  
――――――――
「十代目?……」
  
なんだ・・こんな真っ白な部屋ボンゴレの屋敷にあったか?
  
「あっ、獄寺さんようやくお目覚めになりましたか?」
  
「お前は誰だ?…それにここは・・・?」

  
「ここは病院で、私は看護婦です。覚えていないんですか?」
「あなたは過労で倒れて、ここに運ばれて来たんですよ?」
「それで念のために検査したら、あまりにも心臓が酷かったので、手術したんですよ?覚えてないですか?」
  
そうか、だからこんな所に寝てたのか…
  
――――??
「すいません、ちなみにどういう手術したんですか?…覚えてないので?…」

―――嫌な予感がする………

  
「あぁ、移植ですよ。移植手術。」
  
「移植…?」
  
「はい、『沢田綱吉』さんのものとを移植して…」
  
  
あぁ……だからだろうか…
さっきからずっと心臓が痛い…
あなたはいつも愛をくれるのと同時に罪を落としていく…
そしてまた、あなたは罪の種を俺の心臓に蒔く
  
  
罪の果実が酷く俺の胸に実をつけてる―――

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ