色の無い微笑み
□†二章 存在という意味†
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「俺は覚えてないが…。」
「私も。」
「ですよね〜。って事ですっ!聞こえた?」
最後の人の言葉は、問いかけた人に対する答えだろう。割りと大きな声だった。
それだけ近くにいた人ですら気がつかないのなら自分がそうでも仕方ないだろう。
そんな安心した様子がクラス中で見られた。
そしてまた、否安心感が出たせいかさっきより騒がしくお喋りが始まってしまった。
「あ〜お前ら?授業中なんだが。」
「だって先生、クラスメイトに知らない人がいたんですよ?」
「気になるのは仕方ないじゃないですかっ!」
「…堂々と言うな。はぁ、一度荷物を取りに来るだろ、その時にみろよ。」
その言葉で一度は静まった。生徒の目が今は全部前へと向いている。
いつもの授業でもこのくらい興味を持ってくれれば成績も物凄く上がるだろうに。そんな事を思ってしまった教師に罪は無いだろう。
「失礼します、一度は家に戻ることになりましたので、お願いします。」
話が一段落ついた時、噂の当人が戻ってきた。