色の無い微笑み
□†三章 残り香†
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風芽は皆が存在が無いように忘れてしまった事を不思議に思った。話に出ないだけかもと思い皇の名前を出して聞いたが答えは変わらなかった。
名前には聞き覚えが有るものの、何処で聞いたかわからない。そんな返事が返ってくるだけだった。
しかし皇の席は相変わらずそこにあり、彼もそこにいる。
教師達は彼の存在を認知し、生徒だけが彼の事が分からない。
疑問は日に日に積もっていった。
あの急な呼び出しがかかった時にいた先生――歴史担当の千遞(センダイ)と言う名前だか、大抵読めずに終わり千生(センセイ)と略して呼ばれる事が多い――に探りを入れるが、上手く誤魔化されてしまう。
とは言え他の先生にも似たような事を言われた。
裏口を合わしているのか…本当に知らないのか。
けれど翌日から休みの理由さえも全ての教員が知っているようだった。
風芽が何かあると考えるのは当然の事だろう。
一番引っかかっているのは風芽自身、忘れかけてしまう理由だ。まるで有りにも価値の無い事のように頭から消えていく感覚がする。
こんなにも気になっているにも関わらず。
思ったら最後とことん突き詰める性格の風芽は即行動に移した。
その日から皇を観察する事にしたのだ。と言えばまだ聞こえは良いかも知れないが正確に言えばプチストーカーに入らないギリギリのの事をしている。
流石に家まで付いて行く事は無かったが学校にいる間はひたすら見ていた。
もし、教室から彼が出る時があればついて行っただろう。最も彼は自分の席を離れることはなかったが。
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