ドラゴンクエストV-α ―伝説の勇者達―
□Chapter 3
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第20話
Black pepper
―黒胡椒―
「じゃあ、またな」
「おう。今度は絶対負けないからな」
「はははは」
バハラタの町の入り口で、勇者の末裔御一行と元セコい盗賊一行は別れを告げていた。
カンダタ達との激戦の翌日、傷と疲れを癒して今に至っている。
「……さて、ポルトガに戻って黒胡椒を渡して、船を貰うか」
「……あ!」
「どうしたんだよ?」
「俺たち、胡椒分けてもらってねーじゃんかよ!!」
「……だぁー――っ!!」
どこか間の抜けている一行である。
「……もう一回胡椒屋行ったら?」
「……それしかねぇか」
再び、バハラタの黒胡椒屋にて。
「黒胡椒下さい」
またしてもクエルスが注文する。
「うーん……」
「?」
「いやね、つい先ほど売切れてしまったんだよ。一時間ほど前だったかな」
「またですか……」
溜め息をつくクエルスに店主はさらに続ける。
「しかも最後に買ってった人が君たちと同じ年頃の女の子なんだけどさ、見ない顔で……たぶん旅の人だと思うんだけどさ……」
「……そうですか……」
仕方なく彼等はバハラタの宿に行く事にした。
「ああー、俺たちのバカヤロー!!」
クエルス・フォードの己に対する恨みの声が上がる。
「ひょっとしたらまた入荷するまでここで待ちぼうけかもね……」
「うーん……」
そのとき、扉がノックされる。扉の向こうには女将が立っていた。
「はい?」
「すみません、ダニエル・アルマー様はいらっしゃいますか?」
「ダニエルは俺ですが…何か?」
「いえいえ。お手紙が来ていますよ」
「手紙? あ、どうもありがとうございました。どんな特徴の人でしたか?」
「えーっと、青竹色の髪と目をもった少し小柄な女の子でした」
……あ、セイナか。
「はぁ。どうも」
「では失礼致します」
そう言って女将は去っていった。