08/12の日記

21:53
真夏の世のホラーゲーム〜紙人(邦題:帋人形)〜
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出来心で中国製ホラーゲーム『帋人形』(原題:紙人)プレイしてみたら、心臓と脳と指が機能停止するかと思いました。
Out Lastなんかと同じで、主人公は亡霊に対処する手段がない即死ゲームなので逃げるしかない…んだけど、主人公がほとんど走れない+ゲーム全般の操作性が悪すぎるせいで、もう…思い出したくない……
そしてボス戦が難しすぎて、途中棄権しましたorz
全般的に、クソゲーといわれる所以をいろいろ体感…操作性、ゲームバランスの悪さ、敵の動き等々……ストーリーや舞台の雰囲気、なにより丁寧なローカライズはすごくよかったんですが、まあゲームとして色々アレでしたね;;;;
非常にもったいないとしか言いようのないゲームでした。……残念ながらクソゲー評は妥当だと思います。

舞台となる清朝後期の士大夫の廃墟の雰囲気は本当に素敵で、惜しむらくはもうちょっとゆっくり見たりしたいんだなあ。
(最近のマイナーホラーゲームは、全般的にポーズ画面で一時停止しないシステムが多くて、謎解き要素がメインなのにその仕様はどうなの?と首をかしげちゃいます…)
ただ、ローカライズがとても丁寧であることは長所の最たる点です、ここは本当にすごい。基本的に字幕・言語設定が最初から英語なのでプレイしやすい上、何とほぼ完ぺきな日本語字幕+きちんとした日本語吹替が付いてるーー!これ本当にありがたい!某スウィートホームも最初からこんな丁寧なローカライズだったら…orz


!!ここからストーリーネタバレです!!



主人公は、生まれつきの顔のあざや原因不明の幻聴に悩まされている男性。娘と二人暮らしだが、別居中の妻がいるらしい。
幻聴は男性や女性、子供など様々な声だけど、一様に男性への呪詛や怨みを囁くもので、男性はかなり病んでいる。
精神科で通院治療を受けているが改善せず、苛立ちでかなり攻撃的になることもあるようで、ついに妻へ娘を預けざるを得なくなる(おそらく離婚や親権をめぐる裁判の決定事項)
ただし、男性は娘には愛情を抱いており、娘も父親になついている。
雨の中、娘を妻の元へ送り届けるべく車を走らせる男性。
「お父さん、お薬ちゃんと飲んだ?」
心配する娘の声を追うように、「死ね」と囁く声が響き、車は横転する。
もうろうとする意識の中で見たものは、娘が何かに怯えるように走り去ってしまう姿。
次に目覚めた時、男性は見知らぬ廃墟の中にいた――
「お前は必ずここに戻ってくるのだ」という恐ろし気な囁きと共に。



と、こういうプロローグから始まります。
主目的は「殷家の廃墟を探索して娘を探すこと」ですが、お約束のように怨霊が襲いかかってきます。
このゲームに登場する怨霊たちは、基本的にタイトルにある「紙人」です。お葬式の時、故人と一緒に燃やしたり埋めたりして、あの世でお仕えさせる紙製の従者の人形です。……まあ、原型は殉葬の犠牲者なんでしょうけど;;;;
ストーリーを進めていくと判りますが、紙人たちは全員、かつてこの邸に仕えていた人々です(書生や小間使いのように、襲いかかってこない、人形のままの紙人もいます)
しかも、紙人たちが襲ってくる理由は、男性が単なる侵入者だからではありません。
怨霊たちは、男性を「夫人」すなわち、主人である殷大人の奥方だと認識して襲ってきます。
……あれ?儒教社会のはずなのに、なぜ女主人を襲うのか?それがこのゲームの重要な柱なのだ!
一番最初に乳母の怨霊とエンカウントする際のイベントシーンで、怨霊は「お前は殷家の恥さらしだ!」と罵ってきます。
勘違いも甚だしい!とばかりに邸を探索する内、男性を狙う怨霊たちは数を増していきます。執事、主人の乳母、主人の護衛、侍女(丫鬟)……奥様怨まれすぎ…!!と思いきや、邸内に残された日記や記録、紙人を封印する際に発せられる言葉を総合していくうちに、恐ろしい怨念の連鎖によって男性がこの屋敷に「戻ってきた」ことが判ってくるのです。

殷家の夫人は、顔に大きなあざがあるものの、夫の殷氏からは非常に愛されていた。恐らく殷氏は妾も置いていない。
しかし、仲睦まじかったにも関わらず夫婦の間には子供ができない(おそらくこのあたりで殷家の人々は“跡取りの産めない夫人”に眉をひそめていた可能性がある)
ところが、邸に画家が雇われた後、急に夫人が懐妊。……当然ながら、邸の人々は夫人の不貞を疑います。
実は、本当に夫人が不貞を働いていたかどうか、ゲーム中で入手できるアイテムだけでははっきりわからないのですが…。侍女が邸の画室の鍵を画家に渡したりしていたらしいことが、書生の日記には書かれてるので、黒に近い灰色といったところでしょうか。
ともかく、ある日、執事は画家を「不貞の現場を押さえた」として殺害し、殷氏の乳母が侍女を自殺に見せかけて殺害してしまう。乳母は夫人を「殷家の恥さらし」と罵るほど憎んでいたので(姑根性丸出しの台詞とか発してくるし)、夫人に薬湯と称して少しずつ毒を盛って流産させ、その後も「薬湯」を服用させ続けて殺してしまいます。
家人たちは、これで殷家の不名誉を隠ぺいしたつもりだったのですが、夫人は夫人で、子供を流産したショックのあまり精神が不安定になっていたようで……死後、怨霊となって次々と邸の人間を殺害していったのです(使用人たちの死因は、紙人を封印するごとにアーカイブで確認できるようになる)

これが殷家が没落した顛末なんですが、さて、思い出して下さい。
主人公の男性、顔に生まれつき大きなあざがあって、それも彼にとって大きな悩みでした。そして、彼を精神的に病ませるほどの幻聴は、複数の年齢の男性や女性、子供の声が混じっている。
……あれ?
そう、男性はおそらく夫人の生まれ変わりなのです。夫人は少なくとも自分と子供の恨みを晴らし、それによって怨念も鎮まり、現代の男性に生まれ変わった。しかし、こんどは惨殺された殷家の使用人たちが夫人への恨みを晴らそうと、生まれ変わりである男性へ呪詛を囁いて人生を壊そうとしている。
だから、男性が邸に倒れ込んだ時、執事の怨霊が「戻ってきた」と言ったのでしょう。そして、今度こそ「夫人」を殺して復讐しようとしている。
……無限ループって怖くね???((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

もうひとつ不可思議なこと、それは、邸の主人である殷氏がまったく見えてこない。
奥様に不貞の疑惑が生じた時、奥様が亡くなる時、いったいどんな風に振る舞っていたのか、不自然なほど記録がない。
恐らく、紙人2が発売されたら、今度はその謎に迫る内容になるのでしょうが……こういうマイナー系統のゲームは、引っ張っておいて続編出ない、なんてことがザラにあるので、まあ分かる範囲で納得するしかありません。




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