浴室で手を洗い(もし洗わなければテーブルにすらつかせてもらえない)、事務所へ出ると、紅茶の芳香が鼻をくすぐった。 いそいそとキッチンへ向かおうとした足は、しかし、来客の気配に止まった。 「ったく…」 バージルの入れてくれたお茶、大事に取っておいたケーキ。 それを、大切な大切な兄と分け合える時間。 「全部、台無しじゃねーか…」 いい年して唇をとんがらせるダンテの目の前で、扉が静かに開いた。 「元気か、ダンテ。仕事を持ってきてやったぞ」 粋なテノールで挨拶するモリソンに、ダンテは渋い顔で応じる。 「TPOってものをわきまえろよな、モリソン…」 「は?」 end♪ |