洋書

□悪魔が目覚めたその後で
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一晩中戦いっぱなし

何度もひどい怪我して

…それで、わざと俺の本気の一撃受けて、かっこつけて魔界に墜ちようとするんだ。

だから、ほら、半魔の体が悲鳴上げてる。

もう、限界だってな。

まぶたはひくひく動いて、なんとか開こうとしてるけど。
指先が震えて、なんとか起き上がろうとしてるけど。

無理だ。

あんたの全身を縛り付けてた存在は、全部無くなっちまった。

いつも背筋のばして、高慢なくらい顎上げて。

そんなあんたの姿勢を作ってた糸は、全部、ばらばらにぶった切られちまった。

今、あんたの体を支えてるのは、糊のきいたシーツと洗い立てのブランケットと新しい枕。

ほら、あんたの体は、心は、欲しいって言ってる。

居心地のいい、休む場所を、さ。









が目覚めたその後で










今思えば、ずいぶんと手荒な真似をしたとは思ってる。
だけど、仕方ないだろ?
ちょっとでも気ぃ抜けば、あいつは逃げちまうんだから。

実力だっておっかないくらいある、頭も切れる、おまけに誇り高くて強情っぱりだ。
目を覚まして俺を視界に入れた瞬間、あいつは俺を殺そうとするんだ。
きっと、いや、絶対に。
俺を――二度と生き返らないように――ズタズタにした後で、あんたはここを出て行くだろう。
そうやって、また何年もかけて同じことを……いや、これも違うな……前よりも、もっと空恐ろしい、壮大で純粋でいかれたパーティーをおっ始めるんだ。

そんな兄貴をわざわざ自由にしておくほど、俺は優しくない。
で、非常手段に出たわけだ。
言っとくけどな、あいつを痛めつけるような真似は、誓って、やってないぞ!
……まあ、あいつにしてみりゃ、同じ仕打ちってな。
でも、最初からそうしたわけじゃない。

眠り姫のお目覚めは、予想よりずっと静かだった。
そして、予想よりずっと、俺への憎しみは強かったんだ。




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