困ったような顔になったり、満足そうに訳の分からないことを言ったり。 慣れたとはいえ、未だに弟の性格は理解に苦しむ。 だから、バージルは聞きたいことだけを優先した。 「依頼がつまらないのか」 「まーな」 「便利屋を掲げるなら選り好みするな。たまには報酬の高い仕事もしろ」 メモの中から、気に入る内容で高額の依頼をいくつか抜き出す。ダンテがやらなくても自分がこなせばいいのだ。 「依頼に事欠かないだけ幸いだと思え」 ついでに悪魔絡みらしいのを取り分けておいてやるのは、無意識の優しさだ。 「ふうん、オフィスの悪魔祓い、ね。17万か…グレムリン程度でたいそうな額だな」 「精密機械には致命的、ということだろう。受けるか?」 「まあな。一番ましさ」 「データに損害を与えたら、賠償は9桁を超えるぞ」 「俺だって、屋外で戦う方法を考えてたさ!」 「ならばよし」 「実の弟を何だと思ってんだよ…」 「PCの並ぶオフィス内で銃を乱射し、あまつさえ大剣を振り回して悪魔を叩き切った挙げ句、室内を精密機器の残骸と砂まみれにして立ち去る男」 平然と言われて、ダンテは本気で落ち込む。 が、自分でも否定できないのが悲しいところだった。 |