洋書

□※Devil Must Cry!
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「……一発も調度品や建物に当てておられないのはさすがですね」

室内のチェックを済ませたアルテミスは感嘆の溜息をつき、絶刀の衝撃で不安定に揺れるファンにビス代わりの矢を打ち込む。
ぼろ雑巾と化したダンテがアグニとルドラによって運び出された後、血しぶきやら服の破片やらもろもろの後始末は、その他の使い魔に任されていた。

といっても、他人の妖気を吸いかねないナイトメア、肉体労働なんて辞書にないネヴァン、人変できるのかどうかも判らないヴェンデッタとマーシレス……魔具の三分の一は労働力から除外される。

「あの馬鹿どもが…!」
近頃はアラストルまでも狩り出されており、プライドの高い本人はいたく御立腹だ。が、気合を入れてほうきを握り、器用にちりを掃き取っていくのは事務所一の速さ。
“馬鹿ども”とは、非生産的な魔具にというより、この事態を引き起こした主+αにウェイトがおかれている。
「この暑いのに原型のベオウルフと大喧嘩なんぞしくさってっっ!冷房が台無しだ!湯だってしまえあのアホどもおおっっ!」
暑さでのぼせ上がった雷神は、頭上で束ねてぐるぐる巻きにした金髪に帯電しながらわめく。

ことの始まりは、原因すらもわからない些細な喧嘩…のはずだったのだが、喧嘩をする当人がダンテとベオウルフだったのが悪かった。
あっという間に喧嘩はヒートアップし、ダンテは魔人化するわベオウルフは原型に戻るわで、事務所は半壊、電線は断ち切られ、先月購入したばかりの最新型冷暖房(バージル出費)はリベリオンの一撃で真っ二つに割られていた。

そこへ、バージルが買い物から帰ってきたのが運の尽き。
二人が入り口に佇む青い魔人の姿を認めた刹那、ベオウルフ瞬殺。
辛うじて逃げ回っていたダンテも、魔人バージルの絶刀の前に、あわれぼろ雑巾と化した。

それ以上の家具の欠乏を考えたのか、理性ぶちきれたはずのバージルの攻撃は、悲鳴を上げた建物や残った家具・調度の全てをぎりぎりで回避していた。

が、酷暑の7月。僅か3週間でオアシスの去った事務所は、熱気のこもる地獄の釜底となっているのだった。




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