洋書

□Vergil or Dante…?
4ページ/5ページ




「何を騒いでいる。表の連中が怖がってるぞ」


両手に買い物袋を抱えたバージルは、足元にいそいそと寄ってくるケルベロスを見やると、軽く頭を撫でた。
ついでネヴァンのほうを振り返る。
「ネヴァン。後で鍛錬に付き合え。エアレイドを試したい」
「勿論よ。雑魚じゃ届かない上空からの攻撃も考えてあるわ」
「それはいい」
ふっと不敵な笑いを見せるバージルに、最上級の微笑みを向けたまま武器化するネヴァン。
明らかにダンテに対する態度とは別格である。
そして、次に視線を向けられたのは、半べそ状態のアグニとルドラ。
「アグニ、ルドラ。夕食を考える。手伝え」
必要な単語だけを並べた、命令口調のような会話だが、双子の刀には十分な効果を発揮した。
「喜んで」
「そなたがそれを望むなら」
心なしか、目がかまぼこ型に笑っている双刀たち。
無造作に――おそらく玉子などの壊れ物が入っていない――買い物袋をつかむと、バージルはキッチンへと歩みを進める。
落ち着くところへ落ち着いた魔具たちを眺め、あまりの対応の差に打ち震える男が一人。
「お…お前ら…」


「家主は俺だぞおおおお――っっっ!」




end

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ